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2005年5月 3日 (火)

小池滋『英国流立身出世と教育』岩波新書1992年(1)

 この本の著者は、現代日本の著作家中、英国「を」語ったり、英国「で」語ったりするときにまず指を折られる巧者。その間口の広さ、奥行きの深さは端倪すべからざるものがあります。

 私も一気に読んでしまいましたが、ただ一点引っかかったのは、著者が大学教授であるが故の、ご自身が奈辺に立たれているのか、という点。著者は、東京生まれの東大英文ご出身で、東女(とんじょ)教授。まずは奨学金少年ではなさそうですし、出身大学も、勤務先もredbrickではない。憶測すれば、戦前中産階級上層のエリートの御家筋と見ました。そうであればこそ可能である、筋金入りの教養、中庸な(大人な)語り口なのは承知しますが、であるだけに、そういう方に言われても、というヒガミが、私のような「成り上がり」切れない下層階級のものにはあるのでした。

(2)へ。

小池滋『英国流立身出世と教育』1992年(岩波新書)
目次
序章 身をたて名をあげ
第1章 エリート教育の危機
第2章 「慈善学校」の実体
第3章 かわいそうな先生
第4章 「役に立つ教育」の恐ろしさ
第5章 反出世主義の悲惨と栄光
終章 1億総中流の迷信

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