三島における小説と映画
小説はイマジネーションの負担をを読み手に投げることができるが映画はそこができない。
例えば映画で、劇中に絶世の美女を登場させるときには、生の人間で「絶世の美女」らしき人を探さないといけないが、所詮誰をもってきても万人に支持される「絶世の美女」とはいかないだろう(私はニコール・キッドマンをもってきたい気がしますが、別意見を持たれる方は多いでしょう)。
しかし、小説家が一行「彼女は絶世の美女だった。」と書けば、あとは読者がめいめい勝手に自分の「絶世の美女」をイメージしてくれる。その意味で、表現としての豊穣さは小説,文学に分がある、と。
でも、映画では、映画の神様の思し召しか、「絶世の美女」や「天使のような少女」という奇跡を、その物語の中に創り出してしまうものなのではないでしょうか。そこが簡単には三島に同意できないところなんですが。
ということで、結論的にはなんとも言えないというのが私の結論でした。お粗末。
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