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2005年5月 3日 (火)

藤沢晃治「分かりやすい説明の技術」

 「説明」とは、視聴者・読者に「説明者が伝えたい事柄を、無理なく、無駄なく、抵抗なく、明確に、すんなりと、わかってもらうこと」であることを、説得的に示しています。教師、学生、院生、研究者には、必読書といえます。

 疑問点を一つ。この本の「おわりに」で、「分かりやすい授業」と、学生の「自分で考える力」を鍛えることは、両立しないかもしれない、という大学教師の指摘が紹介されてました。が、これは間違いです。「分かりやすさ」はプロトコルに属することで、その授業を通じて鍛えられるべき「問題解決能力」云々は、コンテンツに属することです。難しい問題の「難しさ」を「わかりやすく」説明することはでき、その説明は学生を知的に刺激するでしょう。空疎な問題を、さも「難しそう」に説明することも可能です。これは、教師の貧しいコンテンツを糊塗し、学生を混乱させる効果だけを持ちます。「良い内容」を「分かりやすく」説明する講義・授業は、教師の義務です。この点、念を押しておきたいと思います。

藤沢晃治『「分かりやすい説明」の技術 最強のプレゼンテーション15のルール』2002年(講談社ブルーバックス)

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