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2005年8月11日 (木)

力と法(2)

 どのような秩序が正しいと言えるのか。

 「力」は秩序を創り出す。複数の人間が存在する共同体で、肉体的に最も腕力の強いものが、他の共同体員を強制することは可能だ。最強者の命令に従わないメンバーに暴力を加えるか、暴力を加えることを予告すればよい。

 しかし、どれほどの強者と言えども、病気や怪我をすることはあるし、老いを避けることは不可能だ。「力」によって創出された秩序は、その「力」がなくなった時点で崩壊する。小説『血と骨』の主人公、金俊平の晩年がよい例である。

 永続できない秩序、その持続性を予見できない秩序は、人間社会が必要とする秩序とはいえない。ある特定個人の超越的「力」に依存する秩序は、したがって人類社会を維持するための「事実上の」秩序としても適切とは言えない。

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