大阪高裁、靖国違憲判決をめぐる所感と文句(2)
前回の続き。
この件に関して、サイトめぐりした成果を披瀝しようと思っていたのだが、下記のサイトで、肝心な点は丁寧にわかりやすく説明されているので、その作業は不要と考える。まずは、下記の参照を請う。
[弁護士山口貴士大いに語る]
http://yama-ben.cocolog-nifty.com/ooinikataru/
の中の、一連(4つ)の記事のこと。
1)小泉首相の靖国参拝はやっぱり違憲でしょう
http://yama-ben.cocolog-nifty.com/ooinikataru/2005/10/post_78ca.html
2)【続】小泉首相の靖国参拝はやっぱり違憲でしょう
http://yama-ben.cocolog-nifty.com/ooinikataru/2005/10/post_2fed.html
3)【論点整理】小泉首相の靖国参拝はやっぱり違憲でしょう
http://yama-ben.cocolog-nifty.com/ooinikataru/2005/10/post_5a6a.html
4)【続々】小泉首相の靖国参拝はやっぱり違憲でしょう
http://yama-ben.cocolog-nifty.com/ooinikataru/2005/10/post_caec.html
ただ、東京高裁の靖国合憲判決(9/29)と、大阪高裁の靖国違憲判決(9/30)を比較して、私なりに理解したことを、少し付言すればこうである。
Ⅰ.共通点
靖国参拝が、内閣総理大臣の職務行為なら違憲、小泉純一郎氏の私的行為なら合憲。
これはもう不動の司法判断だろう。ま、あたりまえだぁな。憲法読みゃ、中学生だってそう思うよね。
Ⅱ.相違点
だから、小泉純一郎氏の一連の行為をどう事実認定するか、によって両高裁の判断が分かれた。
東京高裁は、一連の小泉氏の行為を私的行為と事実認定し、大阪高裁はそれを内閣総理大臣の職務行為と事実認定した。だから、判断が真っ二つに分かれた。
ということは、
Ⅲ.憲法解釈で司法の判断が分かれたのではない。
内閣総理大臣の職にある者にとって、いかなる行為が、私的であり、職務行為なのか、という、事実認定の部分で両高裁の判断が分かれた、ということ。
私の感触で言えば、東京高裁の判断は狭すぎ、ちょっと無理があるんじゃない?というもので、その点、大阪高裁の判断は広めで、一般常識にかなった妥当なもの、というところか。
ただ、靖国神社サイドの弁護団には、この「広さ」に深刻な懸念を抱いている向きもあるようだ。この点、興味深いので、次回、東京高裁判決への感想とともに書くこととする。
P.S.昨夜、大阪高裁の判決を検索したときは、平成17年1月1日から平成17年10月30日まで、1件もヒットしなかったのに、先ほど検索したら、なぜか、7月中の判決2件がヒットした。どうしたんだろ(?-?
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