井筒俊彦と大川周明
かなり前、(今は亡き?)中央公論誌に井筒俊彦と誰だかの対談のが載っていた。そこに、太平洋戦争下、井筒と大川周明の交流について語っている部分があった。それは、大川周明が満鉄東亜経済調査局の中の資料室に、浩瀚かつ高価なイスラム叢書を2種類購入しており、それを読みこなせる人物がいなかったため、戦時下、暇だったらしい井筒に声をかけ、それを含むイスラム文献を自由に使わせていた、という内容だった。
既に、その雑誌は行方不明となり手元にないのだが、ネットで検索すると下記のような、ほぼ同様の事に触れているHPがあったので、ご紹介しておこう。
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コメント
山本 様
これからも気が付かれた事がありましたら、気軽に書き込んで下さい。所詮、己一個の知など、half truth にしか過ぎませんので。
投稿: renqing | 2005年12月18日 (日) 18時53分
あれま、きっちりとコメントを付けていただき感激です。
amazon.comのカスタマーレビューで井筒氏と大川周明の関連について指摘があったので、googleでこちらへ飛んできたのですが、自分の雑多な記憶が少しは役に立って幸いです。
投稿: 山本 | 2005年12月17日 (土) 20時32分
山本 様 コメントありがとうございます。ご指摘をうけ、今思い出しました。私が読んだ、井筒氏と誰かの対談記事とは、井筒俊彦と司馬遼太郎の誌上対談でした。占領軍に接収された“Islamica”叢書(だったと思う)と他の大叢書は、米国の田舎大学(メリーランド大学かな?)の図書館の地下で保管されていましたが、雨漏りですべて使えなくなってしまったはずです。アホみたい。
投稿: renqing | 2005年12月15日 (木) 03時01分
中央公論で司馬遼太郎氏が井筒氏を追悼する文章を書かれた際、大川周明と井筒氏との関連についての記述は避けておられ、上野に住んでいたイラン人にコーランを習ったことが書かれていました。
今回の指摘は非常にためになりました。
良質の右翼思想については葦津珍彦氏のことを思い出しました。
投稿: 山本 | 2005年12月14日 (水) 21時58分
聖者アベール師 様
どーも。大川周明に限らず、戦前右翼と目される人物の中には、橘孝三郎など検討に値する思想家がいろいろいます。右からの明治クーデタ政権批判の系譜を拾い上げる作業がなされる必要がありますね。
投稿: renqing | 2005年12月 1日 (木) 13時20分
なかなか興味深い文献でした。
大川周明の回教概論は名著であり
それが成立するプロセスが垣間見えて
参考になります。大川の学的業績を
研究する若手の研究者がもっと輩出
するとよいのですが。もちろん、批判
的検証も含め自由な議論にさらされる
べきは言うまでもありません。
投稿: 聖者アベール師 | 2005年11月30日 (水) 14時35分