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2006年1月 9日 (月)

トレンチコート、ラグラン袖、戦争

 戦争とファッションは因縁が深い。

 まずはトレンチコート trench coat 。trench とは戦場における塹壕のこと。つまり、第一次世界大戦の西部戦線で繰り広げられた長期の塹壕戦 trench warfare に対応するため、イギリス軍が兵士に支給した悪天候用の防水レインコートが、現在のトレンチコートの起源である。アルプス以北のヨーロッパの秋冬は、どんよりと重く雲が垂れ込めて寒い。戦後、その防寒・防水用コートを、兵士たちが戦場から持ち帰りファッションとして定着したのが、トレンチコートだったわけである。

 そのトレンチコートに採用されていた袖が、ラグラン袖 raglan sleeve である。これまた戦場から生まれた代物である。時はクリミア戦争(1853‐56)。戦法の中に軽騎兵の突撃攻撃があった。で、普通、洋服はジャケットの ように身頃と袖がはっきり二つに分かれ、肩先でアームホールに従って縫い合わせられている袖(セットイン・スリーブ)である。しかし、これで出来た軍服の 場合、隊長が突撃の合図をすると袖下が突っ張ってしまい、極めて腕を動かし難い。まあ、そりゃあそうだよね。元来、服って戦争のためだけに作られている訳 じゃないんだから。そんでもって、これをなんとかしてくれと、初代英軍総司令官ラグラン将軍*がある紳士服店**に頼んで考案されたのが、画期的なラグラ ン袖である。そして、上記のトレンチコートで威力を発揮した、防水防寒の布地を創出したのも同じ紳士服店だ。ついでにいえば、カーディガンもこのクリミア 戦争で戦功を上げたカーディガン伯爵から名前がついた。

 総じて、これらは、当然、軍服として持っていた機能性が日常生活の要請をも満たし、なおかつファッション性があるということで、定着をみたものであろう。

*その孫に、英雄伝説研究で著名なラグラン卿がいる。これは別の機会に取り上げることとする。

**参照 重要な点において、下記サイトの情報のおかげでかなり不明な点が解りました。ありがとうございました。

アクアスキュータム Aquascutum

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