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2006年2月20日 (月)

藤原正彦 『国家の品格』 新潮新書 2005年(番外編)

 うーむ、いい加減、この本から離れたかった。しかし、短時間に記事を書く必要から、すぐに思いつく事が、この本への文句しかなかった。我ながら情けない。(-_-;

p.16「 このように十世紀間という長期にわたり非常に遅れていたヨーロッパで、まずルネッサンス、続いて宗教改革、ガリレイやニュートンなどによる科学革命が起こり、理性が解放されるようになって、ヨーロッパは初めて論理や近代的合理精神というものを手にした。これによって産業革命が起こり、その後の世界は欧米にやられてしまったのです。」

 このあまりにも、中学校社会科教科書なみの平板、図式的、そして、誤った事実認識はいったいどうしたことだろうか。ここには、

 無知蒙昧の宗教打破 → 理性の解放 → 近代科学(Science)の出現 → 産業革命 → 経済発展

という、単線的経済史観(=唯物史観?)が見て取れる。著者にわずかでも知的誠実さがあれば、科学史、技術史の概説書くらいは読んでいたであろうに、あろうことか中学校なみの知識を、大出版社から出る新書に披瀝してくれている。

 この図式は、よく言えばあまりにも素朴、悪く言えば無知すぎる。技術と科学はその起源を異にし、その歴史的発展のコースは辛うじて、19世紀末に合流するに過ぎない。時間切れとなったので、続きは次回に。

*全記事のカテゴリー付けが全然終わってません。すみません。これが結構な労力を必要としてまして、鋭意ひまをみながら、作業を完遂する覚悟であります。m(_ _)m

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コメント

吉田正明 様 コメント、ありがとうございました。そう言って戴けると、この天才バカ本にエネルギーを注入したかいがあるというものです。丸山真男が山崎闇斎の論文を書くために、闇斎のものを読み込み、論文執筆後、体調を崩したというエピソードがあります。それの矮小化した事態だと思ってください。(^^v  そういえば、このネタで記事が書けますね。はは、重ねてありがとうございました。

投稿: renqing | 2006年3月 8日 (水) 13時34分

「国家の品格」が83万部のベストセラーと、3月4日「王様のブランチ」で言っていました。先月のNHKの「週刊ブックレビュー」でも取り上げられていたので、2月末に購入し読了。蔵書に加える価値がないと認め、函館市中央図書館に寄贈(購入予定無しと聞いたので)。
著者の主張の一つ、国民は衆愚だからエリートに指導して貰え、というのは、まさに国民を馬鹿にする態度だと思う。武士道についても、それが江戸時代の日本全体の精神性だとは思えない。誠に牽強付会の産物だ。本書をほめる文章ばかりが目立つので、批判記事は無いかとネット検索した結果、貴ブログを発見しました。
批評のシリーズを一気に読むため、連載をテキストエディタにコピー&貼り付けしました。
読んで溜飲が下がりました。

投稿: 吉田正明@函館(53歳) | 2006年3月 5日 (日) 02時26分

松本さん どうも。 そうですね。いい加減、アホな書評を読むのも鬱陶しいので、昨晩、bk1とアマゾンに投稿しました。bk1はすでに掲載済みです。アマゾンは2,3日かかりりますので、お楽しみに。ただ、かなり悪し様に書いたので、載せてくれるかな?

投稿: renqing | 2006年2月26日 (日) 23時51分

 アマゾンの書評子(師?)って、自主的にか雇われたのか、星の数を減らすことを目的に投稿している(一見そう見えないように2〜3つ星当たりにしているが、5つ星と4つ星では印象が変わるのは当然)、らしき人を良く(それも香山リカ、前沢桃子といった女性著者の本に攻撃が集中するのは抑圧のなせる業か)見かけます。
 このさい、藤原の本についてもコテンパンのレビューを載せては如何でしょう。

投稿: 松本和志 | 2006年2月26日 (日) 20時50分

足踏堂さん なんか、自分でも引きずってますねぇ。アマゾンやbk1の書評をチラ読みすると、この「霊感商法」にうかうかと騙される御仁の多いことに唖然とします。いわゆる保守派でない類の言論人は、何やっとんでしょう?バカは相手にしないですかねぇ。でも、現に藤原氏のプロパガンダを「教養」だと勘違いする多数の人々を目にすると、黙殺するには危険だと思うのですが。

投稿: renqing | 2006年2月26日 (日) 19時31分

カテゴリには、「『国家の品格』品評」(仮)も欲しいですね(笑)。

投稿: 足踏堂 | 2006年2月20日 (月) 16時31分

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