『国家の品格』書評をbk1とamazonに乗せました
以下、bk1 と amazon.co.jp に掲載した書評の後半部分の再掲載。自分のblogでは、この視点は書いてなかったので、念のため記しておきます。読みたい方はそれぞれへ飛んでください。
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書評なのに、中身に触れずにおくのはフェアではないと思うので、1点だけ。
『武士道』の著者、新渡戸稲造は、南部藩の武士の子弟として生まれ、札幌農学校時代に洗礼を受けた、敬虔なキリスト教徒(クエーカー、プロテス
タント)であり、終生それは変わらなかった。ある意味で、よき武家としての躾(しつけ)をうけたことがキリスト教への感受性を高めた。だから、この書は、
かつての武家の嗜み・躾と、キリスト教という両親のDNAを受け継いでいる。このことをほとんど考察の外に置く著者の態度は、知的誠実さを欠く。つまり、
新渡戸の「武士道」は、日本古来の武士道とほとんど別物になっている可能性がある、ということだ。新渡戸という人間そのものが、武士の子の骨格に、キリス
ト教精神が受肉して出来上がったものなのである。
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