人生の選択法
「人生の選択マトリクス」、を作ってみた。
以下問題とするのは、人生の岐路に立った人間の《行為》である。
| 善 | 悪
----------------------------------------------------------
| |
得 | 善 かつ 得 | 悪 かつ 得
| (Ⅰ) | (Ⅲ)
| |
-----------------------------------------------------------
| |
損 | 善 かつ 損 | 悪 かつ 損
| (Ⅱ) | (Ⅳ)
| |
人間行動を、善悪、損得、の2×2の次元にカテゴライズしたわけだ。ただし、これはいわば究極の選択であって、普段の行為では、特段意識もせず、善でも悪でもなく、損でも得でもない、ルーチンになっている行為が大部分だろう*。それで人生がうまく回っているならば、カテゴリーⅠを事後的に選択していることになるかもしれない。
もし、カテゴリーⅠか、Ⅳを選択しうるのならば、普通の人間なら、Ⅰを選ぶだろう。だから、行為価値の推移律は、Ⅰ>Ⅳであることは自明だろう(でしょう?)。
だから、問題は、カテゴリーⅡとⅢの選択を迫られたときだ。例えば、所属組織のヤバイ事を知る状況に直面した、等。一方、これは、個人のみではなく、国家の行為とみなしても参照枠組みになる。
ということで、時間切れなので、次回に。
*これは、古来、習慣論として哲学上で議論されてきた。ご関心のある向きは(ないって)、↓をご参照あれ。
この論点は、社会科学上でも深刻な理論上の難問を惹起している。って、実はこれを私は「renqing理論」として大論文の執筆をしようとしていたが、目的に対して己の能力の過小さゆえ(悲しい-_-;)、出来上がったのは屁みたいな論文で竜頭蛇尾と化してしまった。でもウェーバーみたいに、金持ち爺さんの親類縁者から莫大な遺産でも相続できたら、(ここからは小声で)私だって、ウェーバーの10分の1くらいはものは残せるゾ、と負け惜しんでみたりするのよ、実は。ユダヤ人の自己嫌悪ならぬ、renqingの自己憐憫です、はい。
**前回の分類表で、割り切れないグレーゾーンの存在をタカマサ氏に指摘された。したがて、それがゆえに、善悪をめぐる共通判断の形成(→討論を通じた公論の形成)が必要となる。それは、過ちやすい一方で、自然法のもと独立して私的裁判権を保持している人間諸個人が、わざわざ社会契約を結ぶ根本理由なのだ。ロックはそう主張している。私もそれを支持する。
| 固定リンク
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- Taxman (The Beatles, 1966)(2023.11.30)
- 秋の絶景、大村湾:日本の《真珠湾》、長崎県(2023.11.12)
- 沢田マンション:日本の カサ・ミラ〔1〕/Sawada Manshon: Casa Milà, Japón〔1〕(2023.09.19)
- 「後期高齢化」社会の現実(2023.08.31)
- 五月雨の晴れ間に出でて眺むれば青田を涼しく風わたるなり〔良寛 18C〕(2023.07.21)
「書評・紹介(book review)」カテゴリの記事
- Rose petals in the canyon(2023.10.25)
- 峡谷に薔薇の花弁を(2023.10.25)
- 戦後日本の食料自給率なぜ低下したか?/ Why did Japan's food self-sufficiency rate decline after World War II?(2023.09.18)
- The genuine "leader" by Peter F. Drucker / 真のリーダー(ピーター・ドラッカー)(2023.09.12)
- 動物に心はあるか?/Do animals have minds or hearts?(2023.09.02)
「思想史(history of ideas)」カテゴリの記事
- 徂徠における規範と自我 対談 尾藤正英×日野龍夫(1974年11月8日)/Norms and Ego in the Thought of Ogyu Sorai [荻生徂徠](2023.08.30)
- 徳川思想史と「心」を巡る幾つかの備忘録(3)/Some Remarks on the History of Tokugawa Thought and the "mind"(kokoro「こころ」)(2023.06.11)
- 初期近代の覇権国「オランダ」の重要性/ Importance of the Netherlands as a hegemonic power in the early modern period(2023.05.15)
- Wataru Kuroda's "Epistemology"(2023.05.01)
- 黒田亘の「認識論」(2023.04.30)
「言葉」カテゴリの記事
- 「ノスタルジア」の起源(2023.05.08)
- Origins of 'nostalgia'.(2023.05.08)
- 夜の言葉(アーシュラ・K・ル=グイン)(2022.04.22)
- LILIUM: ラテン語によるアニソン/ LILIUM: The anime song written in Latin (1)(2022.02.26)
- Collapse of Social Order and Salvation of the Individual(2022.02.15)
「社会契約論」カテゴリの記事
- 民主制の統治能力(2)/ Ability to govern in democracy (2)(2020.11.11)
- 民主制の統治能力(1)/ Ability to govern in democracy(1)(2020.11.10)
- 自動車は、ガソリンのパワーの60%を大気中へ捨てている(2019.06.25)
- 神社、demos(凡夫たち)kratia(支配)のためのagora(広場)(2019.05.25)
- 現実としての「一揆」と思想としての「社会契約」(2015.10.27)
コメント