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2006年5月30日 (火)

服部正也「ルワンダ中央銀行総裁日記」中公新書1972年

「私は戦に勝つのは兵の強さであり、戦に負けるのは将の弱さであると固く信じている。私はこの考えをルワンダにあてはめた。」本書P.298

 著者の人間としての誠実さが印象的。その誠実さが、途上国と向き合うとき、抽象的な分析や、先進国人からの思い込みなどに囚われない、的確な現状分析と判断を生むのだろう。その根拠の上に、誠実に、そこの人々に向き合い、話し合い、理を尽くし、説得し、同意してもらい、己の政策プランを一歩一歩現実化していく。

 ヒューマンドラマの傑作であり、開発問題に関する日本を代表する古典である。英訳版が出ても、充分セールス的にも成功するだけの面白さを持つと思う。 

 著者の、 Cool head, but warm heart ぶりに、往年の優れた官僚をみて嘆息するのは私だけではあるまい。

服部正也「ルワンダ中央銀行総裁日記」中公新書1972年(増補版2009年)

〔参照〕弊記事
大正時代の可能性
with cool heads but warm hearts

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