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2006年11月 1日 (水)

思い出したことども

 古書店で働いていたことがあった。いつか、本の処分をしたいというお宅に伺った。こういうのは、古書を生業とするこの商売の基本だからよくあることだ。世田谷のそのお宅に着くと、主のいない様子のその家は生気もなく、身内であるという年配のご婦人のみがいらした。

 すでにめぼしいものはないと思われたが、同じ著者の本が何冊もあるのを訝しんでいると、当のご婦人が「姉の著書です。」という。著者名は、最所フミ。英語学者だったらしいのだが、その時は全く知らなかった(恥)。さらに物色(?)していると、なにやら手書きの原稿が出てくる。署名には、鮎川信夫、とある。あれ?、と記憶の頁をめくり、確か、戦後詩人で・・、『荒地』だかの詩人だったようなぁ・・・。文学はまともに読まない癖に文学史的知識だけはある私の特技を発揮して見当をつけていたら、婦人が「姉の夫です。」とつぶやかれた。「なーるほどぉ」と、変に感心したことを、註*の記事を読み、思い出した次第。

 最所フミの著書をアマゾンで検索したら、ちくま文庫から幾つか再刊されていることがわかった。例えば、未だに評価の高い、下記の書。

最所 フミ (著)  英語類義語活用辞典
文庫: 424ページ
出版社: 筑摩書房 (2003/07)
ASIN: 4480087567

 この本の解説が、加島祥造(英米文学者,詩人,画家)と聞き、ホントかよぉ、と思わず一声。なぜ私がそう叫んだかは、註**をお読みください。


*またしても「かわうそ亭」氏から。よい詩です。
  ビルマで死んだ詩人、森川義信
**この記事を読んで、納得。
  発掘!? 故鮎川信夫夫人、半世紀前の恋

※参照   般若 豊: 本に溺れたい

(2)へ続く

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コメント

さすが、かわうそ亭亭主殿。素早い。というか、素早すぎる。最敬礼。

投稿: renqing | 2006年11月 2日 (木) 13時17分

いや、なかなかすごい経験ですね。
たまたま、今日は図書館に行ったので、以下借りてきました。(笑)

『北村太郎を探して』
『河原晉也遺稿/幽霊船長』
『英語と日本語』最所フミ
『加島祥造が詩でよむ漢詩』

最所フミの「英語類義語活用辞典」(研究社)は1979年版(だったかな)の増補改訂版が図書館にありましたので、ぱらぱら読みましたが、とても面白いので、上記のアマゾンで購入することにしました。ちなみに、その研究社版のほうには、もちろん加島祥造氏の「解説」はありませんでした。

投稿: かわうそ亭 | 2006年11月 1日 (水) 18時05分

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