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2007年4月15日 (日)

「タミフル」は何に効くか(4/29リンク追加)

 昨日の我がblog記事作成過程で、幾つか知ったことがあるので忘れないうちに記事化しておく。

1)Wikipedia関連

①「1996年にギリアド・サイエンシズ社(1997年から2001年まで元アメリカ合衆国国防長官のドナルド・ラムズフェルド氏会長を務めた)が開発、スイスのロシュ社がライセンス供与を受け製造、販売を行っている。日本においては2000年に厚生労働省が承認、2001年2月に保険適用承認後中外製薬が日本の代理店となり、タミフルカプセル75とタミフルドライシロップ3%として販売されている。 」
オセルタミビル(商品名「タミフル (Tamiflu)」)、より

②「インフルエンザ特効薬タミフルの特許を所有しているバイオテック企業ギリアド社の会長を1997年から2001年の間つとめ、また、ギリアド社の株式を多数保有している。トリインフルエンザ拡大によるタミフル争奪戦により、ギリアド社株式によって巨額の富を築いたとCNNは報じた。」
ドナルド・ラムズフェルド、より

③小泉純一郎氏の内閣総理大臣在職期間(2001年4月26日 - 2006年9月26日)

 小泉氏の首相就任以前に、厚生労働省の承認、保険適用承認がされているわけだから、ラムズフェルド→小泉→「タミフル」、という線は直接かつ単純 には引けない。ただ、米国へのお付き合いのよい小泉氏が、首相在任中にラムズフェルド氏の富裕化に一肌脱いでいないと考えるのは、政治的想像力の欠如する renqingでも、ちょっと難しい気がする。

2)子供の異常行動等の原因は、「タミフル」とは別である、という報道について

 以下の報道もみかけた。

引用開始
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子供の異常行動、飛び降り「タミフル」原因説は間違い!? 

4月6日10時1分配信 日刊ゲンダイ

 先月29日、インフルエンザと診断された横浜市の中学2年男子(14)が、自宅2階から転落した。けがはなかったが、意識が朦朧(もうろう)と し、庭をはだしで歩いていたところを父親に発見されたという。問題は、この少年が「タミフル」(販売元・中外製薬)を服用していなかったことだ。先月17 日にもタミフルを服用していないインフルエンザの14歳男子生徒が自宅2階から飛び降りて骨折したケースがあり、相次ぐ少年の異常行動が、タミフルの副作 用とばかりも言えなくなってきた。
 先月21日、厚生労働省は10代の患者へのタミフル投与の原則中止を決定したばかりだが、タミフルと異常行動の関係はどうなっているのか?
 細菌学が専門の中原英臣・医学博士がこう言う。
「今 では信じられませんが、ペニシリンも開発当初、数万人に1人の割合で重度のアレルギー反応を起こして死に至る『ペニシリン・ショック』と呼ばれる副作用事 故がありました。タミフルも米国ギリアド・サイエンシズ社によって96年に開発された歴史の浅い薬で、進歩の途上にある抗ウイルス剤です。ややヒステリッ クに騒がれていますが、すべての薬には副作用がある。国は、命にかかわる副作用の可能性が少しでもある限り、飲ませないという判断を下した。その点につい ては正しいと思います」

●インフルエンザの高熱でも異常行動を起こす場合が…
 タミフルは、昨年度だけで副作用の疑われる事例が1763件報告された。うちベランダからの飛び降りなど極めて異常な事例が23件。
 しかし、厚労省はタミフルと異常行動の因果関係について今も否定的な立場を取っている。というのも、インフルエンザによる高熱でも異常行動を起こす場合があるからだ。
 中外製薬に見解を求めたところ、「今の段階では、研究の調査結果を待つしかございません」(広報担当)とのことだが、子供を持つ親は「タミフルを飲ませなければ子供は飛び降りない」とは考えない方がいい。
最終更新:4月6日10時1分
**********************************************************
引用終了

 この報道を読んだ翌日、道々つらつらと考えていたら、あることに気が付いた。この報道によれば、厚労省が「タミフル」と異常行動の因果関係について今も否定的な立場を崩さないのは、インフルエンザによる高熱でも異常行動を起こす場合があるから、という。

 しかし、「タミフル」を服用するメリットは、発熱を24時間(=たった1日!)短縮するという薬効にある。↓
「正作用 * 海外臨床試験において,発症2日以内の投与によって,発熱期間を24時間,罹病期間を 26 時間短縮した(服用しない場合、発熱は通常3~7日間続く)。」
オセルタミビル(商品名「タミフル (Tamiflu)」)、より

 それならば、「タミフル」が1763件の異常行動と何ら関係がないとし、インフルエンザによる高熱が異常行動を起こすのだとすれば、発熱期間を短縮するはずの「タミフル」は、インフルエンザの高熱による異常行動を抑制できない、ということになる。

 それなら、なんでわざわざ効かない「タミフル」を日本の保険制度を通じて、特許使用料まで含む対価を支払いながら、日本のインフルエンザ患者は飲 まなきゃならないのか。そんなの一種の詐欺ではないか。そのうえ、「タミフル」と異常行動との因果関係を否定できてもいないのだ。メリットがなく、副作用 リスクのみがあるかもしれない中で、唯一つ確実なのことは、「タミフル」を日本で処方すればするほど、ドナルド・ヘンリー・ラムズフェルド(Donald Henry Rumsfeld)氏の懐が暖まる、ということだ。馬鹿馬鹿しいことこの上なし。

 ものごとは、よくよく冷静に、そして論理的に考えて判断すべきだろう。もういい加減、米国に利用される日本であって欲しくないのだが。


*下記もご参照を乞う。
「タミフル」はインフルエンザ・ウィルスに効く

“旧型”インフルエンザに「タミフル」を使うべきではない(総括・事実編)

“旧型”インフルエンザに「タミフル」を使うべきではない(総括・意見編)

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コメント

杉原さん、コメントありがごうございます。

 治療の現場で、苦しんでいる子供を目の当りにしたら、処方したくなりますよね。ご指摘のように、「切れ味」の鋭い薬のようですから。 ただ、未だに、不明のリスクがありそうだ、というところが問題です。 結局、因果関係が不明でも、たとえば、統計学的に、1万人に1人の確率で、異常行動がありうる、といったガイダンスがあれば、医師も患者も治療法を選択する際に、ある意味安心できるのだと思います。

 タミフルに関し、肯定的な新しい記事を書きましたし、別途、リスクとコストをどう考えるか、記事を書くつもりです。

投稿: renqing | 2007年4月16日 (月) 13時16分

異常行動については、現在調査がすすんでいます.
私も協力しているのですが、どうも熱がでなくても、もちろん薬を飲んでいなくても異常行動をおこす症例があります.

ますます混乱を起こしそうですが、あまり人々の不安を煽るのもどうか、と思います.厚生労働省ばかりに責任をおしつけるよりも、なぜ、インフルエンザで一日早く熱をさげなくてはいけないのか、どうしてその薬に殺到するのか、というところにフォーカスをあててほしいですね.

やっぱり、タミフルのまないと苦しそうだな、という身体の弱い子もいますので...

投稿: 杉原 桂@多摩ガーデンクリニック小児科 | 2007年4月16日 (月) 12時29分

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