「憎むことのできない敵を殺さないでいいように早くこの世界がなりますように」
「ああ、マヂエル様、どうか憎むことのできない敵を殺さないでいいように早くこの世界がなりますように、そのためならば、わたくしのからだなどは、何べん引き裂かれてもかまいません。」
宮沢賢治「烏の北斗七星」(1924年)
賢治の、腹の底から絞りだす静かな慟哭。これがまことの仏教者か。今、この瞬間、混乱のバグダッドに、そして他の戦闘地帯に、心の中で同じ言葉を叫んでいる数多くの若者がいよう。戦闘で敵を殺すことの耐え難い痛みと辛さを、これほど直裁に強く訴えかける文学を私は他に知らない。この作品が一人でも多くの方たちに読まれることを望む。
*私は下記記事でこの作品を知った。不明を恥じるばかりである。
王敏「賢治ー時空を超えて語りかける」
**下記も参照されたし。
宮沢賢治の童話と詩 森羅情報サービス
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- 「憎むことのできない敵を殺さないでいいように早くこの世界がなりますように」(2007.05.11)
コメント
かぐら川さん、どーも。
宮下 隆二『イーハトーブと満洲国―宮沢賢治と石原莞爾が描いた理想郷』PHP研究所(2007/6)
ですね。かなり面白そうです。ご紹介ありがとうございます。メモしとこっと。
投稿: renqing | 2007年7月 1日 (日) 13時12分
再訂正:
『イーハトーブと満洲国』でした。何度もすみません。(イーハトーブ←イーハトーボ)
投稿: かぐら川 | 2007年6月30日 (土) 19時49分
訂正:
宮下さんの本のタイトル中の「満州国」は私の写し間違いで、「イーハトーボと満洲国」が正しいものです。(州→洲)
投稿: かぐら川 | 2007年6月30日 (土) 17時04分
宮下隆二『イーハトーボと満州国――宮沢賢治と石原莞爾が描いた理想郷』(PHP)という本を見つけました。今月の新刊です。
読み始めたばかりですが、renqingさんも興味深く読んでいただけるのではないかと思い、紹介に参上しました。
投稿: かぐら川 | 2007年6月30日 (土) 15時37分