「明治維新」の帰結(2007.05.11追記)
「・・・、カトリック者は日曜日の労働を戒律で禁じられているので、ルロイ修道士が代表となって監督官に、「日曜日は休ませてほしい。その埋め合わせは、ほかの曜日にきっとする。」と申し入れた。すると監督官は、「大日本帝国の七曜表は月月火水木金金。この国には土曜も日曜もありゃせんのだ。」としかりつけ、見せしめに、ルロイ修道士の左の人さし指を木づちで思い切りたたきつぶしたのだ。」
井上ひさし「握手」より
P.M.アベが(たぶん)思い浮かべるたびに感涙に咽んでいるであろう明治の御世。その80年間の帰結がこれだ。そして、「美しい国」を目指す日本の、「美しくない」記憶、も。
大日本帝国のパワーエリートたちはいまだ、大日本帝国「臣民」に敗戦の責任をなんらとっていない。「なぜ負けたのか」の説明責任もないし、国防に責任を持っているにもかかわらず、非戦闘員がうけた甚大なる被害に、なんら賠償もしていない。
「ニュルンベルグ裁判でナチの指導者が外国勢力に責任をとらされるのは、かれらがドイツ国民に責任を負うこととは別のことなのである。」
アルフレッド・シュッツ『現象学的社会学の応用』御茶の水書房(1980) 、p.281
こんなふざけたことがまかり通っているマジックの元凶には、「明治維新神話」がある。いったい、日本の人文系の学者は、この半世紀なにをしていたのだろうか。
| 固定リンク
「日本 (Japan)」カテゴリの記事
- 有田焼のマグカップ/ Arita porcelain mug(2024.04.25)
- 佐藤竹善「ウタヂカラ CORNERSTONES4」2007年CD(2024.04.18)
- Taxman (The Beatles, 1966)(2023.11.30)
- LILIUM: ラテン語によるアニソン/ LILIUM: The anime song written in Latin (2)(2023.11.28)
「近現代(modernity)」カテゴリの記事
- 対米英蘭蒋戦争終末促進に関する腹案(昭和十六年十一月十五日/大本営政府連絡会議決定)/Japan's Plan to Promote the End of the War against the U.S., Britain, the Netherlands, and Chiang Kai-shek 〔November 15, 1941〕(2024.06.02)
- 自由と尊厳を持つのは、よく笑い、よく泣く者のことである(1)/ To have freedom and dignity is to be one who laughs often and cries often (1)(2023.06.05)
- 「ノスタルジア」の起源(2023.05.08)
- Origins of 'nostalgia'.(2023.05.08)
- "das Haus" as an outer shell of an isolated individual(2023.05.07)
「書評・紹介(book review)」カテゴリの記事
- 「自尊感情 self-esteem」の源泉(2024.09.08)
- T.S.エリオットによる、ウォーコップ『合理性への逸脱:ものの考え方』1948、への紹介文(2024.08.29)
- マイケル・オークショットの書評(1949年)、O.S.ウォーコップ『合理性への逸脱』1948年(2024.08.28)
- Introduction by T.S. Eliot to O.S. Wauchope (1948)(2024.08.27)
- Michael Oakeshott's Review(1949), O.S.Wauchope, Deviation into Sense, 1948(2024.08.17)
「戦争 (war)」カテゴリの記事
- 対米英蘭蒋戦争終末促進に関する腹案(昭和十六年十一月十五日/大本営政府連絡会議決定)/Japan's Plan to Promote the End of the War against the U.S., Britain, the Netherlands, and Chiang Kai-shek 〔November 15, 1941〕(2024.06.02)
- イスラエルの戦争犯罪は続く・・・/ Israel’s war crimes will continue.(2023.11.29)
- いじめ、紅衛兵、内務班(2022.09.30)
- For what purpose does our country go to war?, by Akiko Yosano, 1918(2022.05.19)
- "Exoteric or Esoteric Buddhism" on the Principle of Self-Help(2022.05.02)
コメント