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2008年1月14日 (月)

抗生物質はインフルエンザウィルスに効く訳ではない

 NHKで、新型インフルエンザについて二夜連続で放送していた。一方では、中国でヒト―ヒト感染の鳥インフルエンザが確認されている。私も過去に、幾つか、インフルエンザ関連で記事を書いた。

 自分も去年末、インフルエンザA型に罹患して、タミフルと抗生物質を処方されたことは既に記事にした。で、周囲の反応の中で、抗生物質の効果について若干誤解も見られたので、軽く常識程度に復習をしておこう。

 抗生物質とは、

「微生物によってつくられ,微生物その他の細胞の発育または機能を阻止する物質をいう。」(平凡社世界大百科事典1998年、「抗生物質」鈴木日出夫+高橋信孝筆)

 そして、抗生物質は、細菌に選択的に効く。例えば、

■ ペニシリン (Penicillin)の効き方
ペニシリンの化学構造が菌の細胞壁を脆弱化させる。したがって、浸透圧に耐えられなくなった菌は溶菌を起こし死滅する。ヒトの細胞には細胞壁構造が存在しないため、ペニシリンは全く作用しない。

■ ストレプトマイシン (Streptomycin)の効き方
細菌のタンパク質の合成を阻害することによって抗生作用を示す。人間のリボソームは細菌のそれとは異なる構造をしているため、細菌だけに選択毒性を示す。特に結核(tuberculosis)の治療に良く用いられる。

以上、抗生物質の話による。

 簡単に言えば、抗生物質は細菌の細胞壁等をこわし、押しつぶす。だから、単細胞生物より、さらに小さい、細胞壁など持たないむき出しのDNA、RNAといった遺伝子レベルサイズのウィルスには効かないわけだ。

 インフルエンザに罹り、医者でタミフルなどの抗ウィルス剤と抗生物質の両方を処方してもらうことがあっても、それは、抗生物質がインフルエンザ ウィルスに効くわけではなく、インフルエンザによる体力低下時に、細菌性の感染症に罹らないように予防的に処方しているに過ぎない。その予防効果にも疑問 がもたれ、単に耐性菌の出現を加速させるだけの結果に終わっているとの指摘もあり、再検討を迫られている、というのが現状のようだ。

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