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2008年1月16日 (水)

サルミ・テルマ・カクセイ

「こんど、家来の角右衛門が日本へ帰るので、テルマとカクセイをお土産に届けさせた。無事に着いただろうか。そのうちコカクセイ一人は娘にやってほしい。私も戦場で十一歳の子どもを手に入れ(求め)て召し使っているが、ひどい病気もちで困っている。いずれ娘にもテルマを一人、手に入れ(求め)て贈ろう。また拾左衛門尉殿にも下女にでもできそうな子を一人、手に入れ(取り)て、次のお土産にしよう。ただ、いまは加徳カドクという島の暮らしで、食べるのがやっとだから、そのうち手の者をやって、手に入れたら(取り候わば)送りたい・・・。」
 藤木久志『新版 雑兵たちの戦場 中世の傭兵と奴隷狩り 』朝日選書(2005年)、pp.62-63

 これは、外国出張しているお父さんから家を守るお母さんへの手紙の一節である。時は今から400年前、慶長二年(1597)。差出人は、島津家家来で小身の武士、大嶋忠泰。受取人は、国元の妻(内方・宿本)。差出地は、再侵略真っただ中の朝鮮半島の戦場。

 この藤木の書は衝撃的な本である。旧版は1995年に出ており、その後新たに確認できた史料を付け加えた新版がこれだ。上記は、朝鮮半島における秀吉軍の奴隷狩り戦争に関するものだが、驚くべきは、これが、日本国内の戦場における普遍的な習俗の国外持ち出しであること。

 つまり、私にもあなたにもどこかの歴史的段階で、戦場の戦利品としての奴隷の血が流れている可能性もあるわけだ。あるいは奴隷主の血脈か。美醜善悪含め て己の歴史的来歴を知るために必ず読むべきだろう。この事実を冷静に受け止めることができるかどうかが、その者の批判的知性の有無をあぶり出す試金石の書。

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