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2008年1月17日 (木)

病気と食べ物(追記1/18)

 インフルエンザなどの病気になった時、なにを食べればよいのか。

 これを考えるには、まず、生物としての人間について、簡単に知識をおさらいしておくことが必要だ。

 まず、機械 machine で考えてみる。たとえば、自動車。

 自動車がなにでできているかといえば、中心は金属だろう(ま、最近はプラスチックを使うことで軽量化を図ることが多いが)。つまり、自動車の身体 body は金属でできている。では、自動車はそれだけで動くだろうか。それは当然無理。自動車が動くには、ガソリンが必要だ。

 

 

 つまり、自動車という機械 machine が機能するには、物質として、素材としての金属と、燃料としてのガソリンが必要だということになる。

 生物ではどうか。

 生物の身体は、大部分、タンパク質(=素材)で構築されている。そして、その活動エネルギー源(=燃料)は、ブドウ糖から(生体内で)つくられるATPという物質だ。つまり、生物の身体およびその活動を支えている中心の物質は二つ。タンパク質とブドウ糖ということになる。

 タンパク質は主として、肉などから摂取できる動物性タンパク質、大豆などから摂取できる植物性タンパク質、等で体内に取り込む。ブドウ糖は主として、米などの炭水化物からデンプンを摂取し、それを体内でブドウ糖に変換させて体内に取り込む。

 一方、インフルエンザなどの病気にかかると、身体に二つのダメージが発生する。一つは、細胞が毀損する。もう一つは、身体の防御機能に優先的にエネルギーを費消される。

 毀損した細胞は、その素材が毀損したわけだから、新たに素材を取り込まなくては、補修できない。つまり、タンパク質を余分に摂取する必要がある。また、病気中は身体のエネルギーが優先的に防御機能に使われるので、通常の活動力よりかなり低下せざるを得ない。したがって、そのために通常より多く、炭水化物、もしくはよりブドウ糖に変化しやすいものを摂取する必要があるわけだ。病院で打たれる点滴はまさにブドウ糖そのもの。

 当然、その他に、身体に必要な微量物質はいくらでもあるが、生物としての人間に絶対不可欠な二大物質といえば、タンパク質(肉、大豆類)とブドウ糖(米、麦類の炭水化物)であるわけだ。

 念のため言い添えれば、肉は、タンパク質の摂取効率は大豆などより優れているが、動物性脂質があるため、余分な脂肪が身体についてしまうことは不可避。大豆等の植物性タンパク質は、肉などにくらべるとタンパク質摂取効率は劣るが、脂肪取りすぎの心配はない。肉食の習慣のある人々は、身体(=素材)も大きいが、メタボリックになり易いのは理の当然ということになる。肉類、大豆類はバランスの問題だろう。

 入試や資格試験などの勉強で、脳細胞を酷使したときに必要なものは、タンパク質かブドウ糖か。その活力を復活させようとするなら、無論、ブドウ糖である。脳細胞はブドウ糖から作られるATPを体内で最も多く費消する。疲れたときに、甘いものがよい、というのはこれが理由である。

 病後の回復に必要なのは、ブドウ糖ではなく、タンパク質となる。細胞レベルで毀損しているので、その補修に物質が必要となるからである。中国人が病後の回復、滋養に、鶏肉を食べる習慣があるのは、それが動物性脂肪が比較的少なく、高タンパクであるためであり、理にかなっている。

 以上、ある意味で初歩的常識の部類だが、タンパク質とブドウ糖の役割について、意外に勘違いしている向きもあるかと思い書いてみた。

2008.01.18 追記 たんぱく質(動物性&植物性)は、そのまま体内に取り込まれるわけではない。体内の酵素によっていったんアミノ酸レベルまで分解された上で、小腸から吸収される。たんぱく質のままではない。だから、尿からたんぱくが検出されたりするとまずいわけだ。で、この体内に吸収されたアミノ酸が体の各所で、細胞内にあるDNAという設計指示書に従って、20数種類あるアミノ酸のどれかを指定しそれらを組み合わせて、身体各所で必要なタイプのたんぱく質という素材をその現場で作っている。当然、物質は必ず劣化するので、病気でなくとも劣化した身体各所の部品は補修、置き換えが随時行われている。

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