みすず書房、における知的誠実性(1)
下記の名著が先月、復刊された。
マリアンネ・ウェーバー『マックス・ウェーバー』みすず書房(1987年)
ウェーバーの一読者として慶賀に堪えない。
その一方で、この訳書は、以前の記事で私が指摘したような問題を抱えていた。
そこで、先日たまたま書店に立寄ったついでに、手にとって見たところ、タイトル頁裏面の底本表記には、こうあった。
「 First published by J.C.B.Mohr(Paul Siebeck) 1926 」
う~ん。これが日本を代表する学術出版社の知的誠実性の表し方なのだろうか。問題がここまで明確になっている以上、訳書タイトル頁裏面の‘底本’表記にも、本書の「あとがき」同様、
「 Verlag Lambert Schneider, Heiderberg. 1950 」
と、淡々と‘事実’を表記すべきだろう。この訳書が、原書第二版である「the abridged version 縮約版」の翻訳であることは間違いないのだから。
事実の尊重。これが言論に携わるもののアルファでありオメガだ。
| 固定リンク
「Max Weber」カテゴリの記事
- Two Europe(2022.12.22)
- The future as an imitation of the Paradise(2022.10.30)
- Die Wahlverwandtshaften / Elective Affinities(2022.10.29)
- 日本の若者における自尊感情/ Self-esteem among Japanese Youth(2)(2022.09.28)
- 日本の若者における自尊感情/ Self-esteem among Japanese Youth(1)(2022.09.28)
「羽入辰郎」カテゴリの記事
- 待つ身は辛い(3)(2008.08.26)
- 待つ身は辛い(2)(2008.07.11)
- みすず書房、における知的誠実性(2)(2008.05.13)
- みすず書房、における知的誠実性(1)(2008.05.12)
- 待つ身は辛い(2008.05.01)
コメント