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2008年5月23日 (金)

あのぉー、まちがってる(みたいな)んですけど・・(2)

T_NAKAさん、かがみさん、どうも。

1)用語法について

この場合、「積集合」とあるのは、著者竹内外史氏のマイナーな用語法のようです。

本書、pp.70-71
「集合Aがあたえられたとき、Aのすべての部分集合全体からなる集合をAの積集合といってP(A)で表します。」

とありますので、通常の用語法では、「べき集合」と表現されているものです。

2)本書での証明

pp.72-76

「 さて、証明の本質的な所は同じなので、ここではAが正の自然数全体の集合であるときすなわち、

 A={1,2,3,・・・}

の場合にAとP(A)との間に一対一の対応がないことを証明します。さて万一、一対一の対応があったとすれば矛盾するという形で証明をおこないます。
 AとP(A)との間に一対一の対応があったとします。Aは正の自然数全体の集合ですからAとP(A)との間に一対A一の対応があるということは、P(A)の元つまり、Aの部分集合に1番目の部分集合A1、2番目の部分集合A2、・・・・と数えて行って、

 イ)同じ部分集合を二度数えない。すなわちiとjとが異なっていればAi≠Ajである。

 ロ)数えもれがない。つまり、すべてのAの部分集合は必ずA1、A2、A3、・・・のなかに出てくる。

という二つの条件をみたすようにできるということです。今、上のA1、A2、A3、・・・という列がこの二つの条件をみたしているとします。このときAの部分集合Bを次の手続きで作るとします。

 1∉ A1ならば1をBのなかに入れる
 1∈A1ならば1はBに入れない
 2∉ A2ならば2をBのなかに入れる
 2∈A2ならば2はBに入れない
 ・・・・
 n∉ AnならばnをBのなかに入れる
 n∈AnならばnはBに入れない
 ・・・・

 これをすべての正の自然数nについて繰り返しますと、正の自然数の集合Bが完全に決まります。定義によって、

 ハ)n∈B ⇔ n∉ An

がすべての正の自然数nに対して成立します。
 ところでBは元はすべての正の自然数ですから、BはAの部分集合になっています。ですからBは ロ)にしたがってA1、A2、A3、・・・のどこかに出てこなくてはなりません。いまBがこの列のm番目に出てきたとします。すなわち、

 B=Am

が成立したとします。上のハ)のnにmを代入しますと、

 m∈B ⇔ m∉ Am

がえられます。ところでB=Amですから、

 m∈Am ⇔ m∉ Am

が得られて矛盾が出ました。

 この証明では n∈An ⇔ n∉ An

を考えるのですがこれは、

              A1    A2      A3     A4

  1  1∈A1  1∈A2   1∈A3   1∈A4

    2  2∈A2  2∈A2   2∈A3   2∈A4

    3  3∈A3  3∈A3   3∈A3   3∈A4

  ・・      ・・       ・・            ・・            ・・

 この表のなかのちょうど対角線の所をとり出して考えているので、カントールの“対角線論法”と呼ばれて、この証明の外にもいろいろと有効に用いられている方法の一つです。」

3)正確を期すためには、週末、近隣の図書館で本書該当頁をご確認戴くか、書店 or 古本屋で実物を購入されることをお勧め致します。

4)現在、講談社にも問い合わせ中ですが、是とも非とも回答はありません。

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コメント

う~む、、ミスと断定的に言えるかどうか微妙なところですね。。
確かに見た目に対称性があって自然なのは、renqingさんの書かれた表でしょうね。

苦しい説明をすれば、例えば1行目で重要なのは、[1∉ A1]or[1∈A1]であって、2行目に移ったときには、A1についての真偽は確定済みなので問う必要がなく、あえてA1を書かないでいるということも考えられます。

本当は対角線以外の升目は空白か「…」で埋めておけば良かったとおもうのですが、それだと対角線の気分が出ないですからね。。

投稿: T_NAKA | 2008年5月23日 (金) 16時56分

>外野から色々つっこんで申しわけございませんでした。

いえ。

>対角成分以外の部分はある意味どうでも良い

まあ、そうなんです。そして、著者も神ではないので、エラーもするわけです。ということは、結局、こんなウンコなミスを30年間放置プレイしていた、講談社ブルーバックス編集部の責任というべきでしょう。

投稿: renqing | 2008年5月23日 (金) 04時19分

たしかにこの文面ですと本に誤りがあるようですね。昨日の2番目に書いた f:A → P(A) の例の f(n) が A_n に対応するわけです。
すなわち n ∉ A_n (昨日のコメントでは n ∉ f(n)) を満たす n 全体を考えると矛盾というわけです。
おそらく、対角成分以外の部分はある意味どうでも良いので、竹内先生も余り気になさらなかったのだとは思います。外野から色々つっこんで申しわけございませんでした。

投稿: かがみ | 2008年5月23日 (金) 04時07分

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