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2008年7月30日 (水)

下人価格論

 中世末期(戦国末期)から、徳川前半にかけて、農業経営の小規模化、いわゆる小農自立化が進んだ、というのが日本経済史学の定説である。

 特に、速水スクールでは、それが日本社会の「経済社会化」という大きな動きのひとつの位相という位置づけである。

 さて、近年明らかにされつつある、戦国期の奴隷狩りの実態を勘案すると、ここに奴隷(=下人)価格論を付け加えてもよさそうだ、というのが私のアイデアである。

 戦国期に、長く下人の供給源は、全国いたるところで繰り広げられてきた、戦(いくさ)そのものだった。

 だから、豊臣の平和や、徳川の平和によって、その供給源が細れば、必然的に下人価格は上昇する。すると、戦国期を通じて安価手軽に交換の利く下人を使うことによって成立していた複合家族による農業経営はその大きな前提条件の一つを欠くことになり、立ち行かなくなる訳だ。

 当時の下人価格がどう変動したのかは、まったく把握してないので、単なる推測に過ぎないが、このような側面も軽視でいないのではないか、と私には思われる。

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