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2008年7月 4日 (金)

相対価格と経済数量(2)

 様々な価格のなかに、あまり気がつきにくいが経済全体に大きく影響する価格がある。それは、賃金率(=単位時間あたりの労働報酬金額)と利子率である。ただ、賃金率は労働もしくは仕事の質的多様性と、企業内部における分配状態とに関連するため、極めて重要な価格ではあるが、ここでははずしておくことにする。

 さて、利子率である。これはカネの貸し借りにおける価格だ。登場するのは、売り手、買い手ではなく、貸し手、借り手である。

 日本国における最大の債務者はだれか。もちろん日本国政府である。平成20年3月末現在で、償還10年以内の長期国債の発行残高は、360兆円。平成20年度予算でも、国債発行額は、25兆円。この5年間でみれば、国債の毎年の平均発行額は、約30兆円。

 すると、バブル期以降、経済の長期的低迷の中で、景気の下支えとして説明されてきた低金利政策の最大の受益者は、日本国政府そのものと言ってもよいだろう*。

 そして、企業の資金需要の低迷で、運用先に困った銀行が買い貯めた国債が81兆円。債券の価値(時価)は、金利(直接には長期金利)と反対に動く**。 つまり、資金の価格としての利子率は、実は、その資金裁定関係を通じて、金融資産価格にも直接的影響を与えてしまうのである。 

 日本の低金利状態がまだ続くにしても、金利水準は既にボトムにあるわけで***、これから金利変動があるとすれば、金利上昇しかありえない。すな わち、日本経済は今後、市中銀行における保有国債の莫大なキャピタル・ロスの危険、そしてそれに伴う金融危機に常に怯え続けなければならない訳だ****。それ は、日本経済に埋め込まれた時限爆弾なのである。

 実は、金利にはインフレを勘案した実質金利という重要な概念があるのだが、それは次の機会ということにする。

*下記論文の(11page/15pages)を参照。「・・・、1990年代の財政悪化について驚くべきことは、債務残高が急激に積みあがったにもかかわらず、グロスの利子支払はわずかながらも財政収支改善要因だったことである。」日本の財政収支はなぜ悪化し、また改善しているのか

**長期金利の決まり方……将来の「予想」が大事

***長期金利の推移

:****民間金融機関の資産・負債

◎下記も参照。
相対価格と経済数量(1.1)

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