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2008年10月16日 (木)

反資本主義としてのベーシック・インカム(Basic income as anti-capitalism)

 丸山真男に「「である」ことと「する」こと」というエッセイがある。ふた昔前には、高校の現代国語の教科書にも採録されていたので、ご存知の向きの多いだろう。単行本の形では、『日本の思想』岩波新書(1961年) に収められている。

 丸山は、近代社会の基本的ロジックとして「する」論理というものを抽出した。

「身分社会を打破し、概念実在論を唯名論に転回させ、あらゆるドグマを実験のふるいにかけ、政治・経済・文化などいろいろな領域で「先天的」に通用していた権威にたいして、現実的な機能と効用を「問う」近代精神のダイナミックスは、まさに右のような「である」論理・「である」価値から「する」価値・「する」論理への相対的な重点の移動によって生まれたものです。」『日本の思想』、p.157

 これはまさに資本主義の論理でもあった。一方、ベーシック・インカム(Basic income:略称 BI)は、それとは反対に、単なる出生の事実をもって無条件に、すべての住民に一定の所得を支給するものだ。前者が「する」論理・価値なら、後者こそは 「である」論理・価値といえる。

 こうして、歴史は一巡りし、あらゆるものを実験のふるいにかける近代精神のダイナミクスは、ついに近代資本主義そのもの、あるいは市場万能論というドグマの機能と効用*を問う時に至ったことになろうか。

*これはまた一方で、資本主義とともに生まれた通貨制度の機能と効用を問うものでもある。その意味で、USドルという国際通貨が今まさに、その舞台から退場せんとするところを我々は目撃しているわけだ。

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