2001年9月11日は何を変えたか
結局、2001年9月11日からの8年間が変えたことといえば、ブッシュをオバマにし、小泉に長期政権をもたらした後、自民政権を鳩山民主政権に首を挿げ替え、リーマン・ショックで世界同時恐慌のリスクをより増やしたことぐらいか。その一方で、アルカーイダは健在で、ウサーマ・ビン=ラーディンも逮捕できず、肝心の「テロとの闘い」の舞台、アフガニスタンに平和をもたらさず、隣国イラクとともに秩序の崩壊、内戦の泥沼化を亢進させ、昭和前期治安維持法下の言論統制もどきの、何も言えない社会を日米内部ともに作っていった。
「2001年9月11日以後」に何か歴史的意味があるかのように論じるものや、この悲劇を追悼するとして作品を発表する連中もいた。実に下らないことではあったが、心理機制としては、1941年12月8日における高村光太郎の「天皇あやふし」*と同じものだったのだろう。いつの時代にも巨大な暴力そのものにショックと一種の高揚を感じてしまう御仁がいるということに過ぎなかった訳である。
*「真珠湾の日」
宣戦布告よりもさきに聞いたのは
ハワイ辺で戦があつたといふことだ。
つひに太平洋で戦ふのだ。
詔勅をきいて身ぶるひした。
この容易ならぬ瞬間に
私の頭脳はランビキにかけられ、
昨日は遠い昔となり、
遠い昔が今となった。
天皇あやふし。
ただこの一語が
私の一切を決定した。
子供の時のおぢいさんが、
父が母がそこに居た。
少年の日の家の雲霧が
部屋一ぱいに立ちこめた。
私の耳は祖先の声でみたされ、
陛下が、陛下がと、
あへぐ意識は眩(めくるめ)いた。
身をすてるほか今はない。
陛下をまもろう。
詩をすてて詩を書かう。
記録を書かう。
同胞の荒廃を出来れば防がう。
私はその夜木星の大きく光る駒込台で
ただしんけんにさう思ひつめた。
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コメント
足踏堂さん、コメントありがとうございます。
>本当の問題は、「9月11日が利用された」ということなのではないかと思います。
はい。米国のグアンタナモ「怪しい奴」収容所などは、米国本土では不可能な、違法行為を可能にしていましたし、「テロとの戦い」の下、米本土内の批判も封じていました。
>そこには後世に歴史的意味が見出されてしまうかもしれないように感じます。そうならずにあってほしいですが。
ノストラダムスの予言が皆「当たる」のは、後知恵だからです。0911に壮大な意味付けがなされるかどうかは、未来の人類社会の出来如何にかかっていますね。
投稿: renqing | 2009年9月18日 (金) 04時19分
下の御仁のコメントは、
>いつの時代にも巨大な暴力そのものにショックと一種の高揚を感じてしまう御仁がいるということに過ぎなかった訳である。
というrenqingさんの文章を自ら例証されに来たのかと驚いてしまいました。
>日本が主体の正しい歴史
という件には、驚きを超えてちょっと微笑んでしまいましたが。
冗談はさておき、
「9月11日は何を変えたか」という問いに対する答えに関しては、ほぼ同じ意見ですが、本当の問題は、「9月11日が利用された」ということなのではないかと思います。そこには後世に歴史的意味が見出されてしまうかもしれないように感じます。そうならずにあってほしいですが。
投稿: 足踏堂 | 2009年9月17日 (木) 19時09分
七生さん、長文のコメントありがとうございます。
ただ、ご自身のコメントと引用されている部分の境界が明瞭とは言えないので、私としても応答に困惑するのですが。
私は、いわゆる大東亜戦争の「戦争責任」を問うことの前に、その「敗戦責任」を問うべきだろうという考えです。1945年以降、日本国民が1945年以前までの戦争指導者たちに、国家指導の責任を問うたということを寡聞にして知りません。外国人たちにあれこれ言われる前に、被治者国民として、この責任を追及すべきでした。これが1945年以降のこの国の政治責任の所在を一貫して曖昧にしてきた理由の一つだと思っています。その意味では、昭和天皇に戦争指導における敗戦責任は存在すると考えます。何しろ、「統帥権」は国務大臣の輔弼から独立しており、陸軍参謀総長も海軍軍令部総長も、大元帥天皇に意見を述べるスタッフに過ぎなかったわけですから。
投稿: renqing | 2009年9月16日 (水) 06時07分
高村光太郎と聞いてやって来ました。
『十二月八日』 高村光太郎
記憶せよ、十二月八日。
この日世界の歴史あらたまる。
アングロ サクソンの歴史あらたまる。
この日東亜の陸と海とに否定さる。
否定するものは彼らのジャパン、
眇(びょう)たる東海の国にして
また神の国たる日本なり。
そを治(しろ)しめたまふ明津御神(あきつみかみ)なり。
世界の富を壟断(ろうだん)するもの、
強豪米英一族の力、
われらの国に於いて否定さる。
われらの否定は義による。
東亜を東亜にかへせといふのみ。
彼らの搾取に隣邦ことごとく痩せたり。
われらまさに其の象牙(ぞうが)を摧(くだ)かんとす。
われらむずから力を養ひてひとたび起(た)つ。
老若男女みな兵なり。
大敵非をさとるに至るまでわれらは戦ふ。
世界の歴史を両断する
十二月八日を記憶せよ。
- 高村光太郎 -
"歴史を知らない人間は人間ではない"(仏哲学者)
はじめまして、七生です。(*'-'*)
参考になれば、幸いです。
※反米じゃないです。
『原爆は何故落とされたのか』
日本人よ、何故 "Yes, we can." と言えるのだ!?
「原爆投下が終戦を早めた」という説は、
アメリカが原爆投下を正当化する為に、
今も言い張っているウソ話である。
「日本を降伏させるのに原爆投下は必要なかった」
という事実は、とっくに証明されているのだ。
それこそTBSの特番、
『"ヒロシマ"あの時、原爆投下は止められた』
でもやっていたほどの常識だ。
※(某キャスター氏のコメントは人間理解の浅薄さを証明する情けないものだったが。)
http://matodoga.blog24.fc2.com/blog-entry-195.html
「天皇の地位保全」の条項さえ出せば、
原爆を投下せずとも日本は降伏すると
米国務次官・グルーは何度も主張した。
しかし大統領トルーマンは、
ポツダム宣言の草案から
「天皇の地位保全」を認める条項を
あえて削除した。
トルーマンは原爆を投下するまで
日本を降伏させたくなかったのだ!
○莫大な費用をかけて作った原爆を、
議会対策の為にも使わなければならなかった。
○ウラン濃縮型と、
ルトニウム型の2種類の原爆を、
黄色いサルの住む都市で実験使用して、
その効果を確かめる必要があった。
○戦後の世界秩序を巡って、
ソ連のスターリンに
脅しをかけておく必要があった。
原爆投下は終戦を早める為に
実行されたのではない!
ルーズベルトの急死で、
たまたま大統領になってしまい、
「つぶれた田舎の雑貨屋のおやじ」と言われて
全米国民の溜息を浴びていた
ハリー・トルーマンは、
自分の強さを誇示する為に、
何が何でも虫けら同然の日本人の上に
原爆を落としたかったのだ。
トルーマンは原爆を2個落とし、
目的を達成したら、グルーの案に戻り、
「天皇の地位保全」を日本に伝えた。
結局はトルーマンの計画通りに進んだのだ。
グルーの努力は実を結ばなかった!
『原爆を投下するまで日本を降伏させるな』
(草思社)の著者、鳥居氏によれば、
ルーズベルトは、日本との戦争が長引けば
中国が内戦になる可能性が高まると考え、
ドイツを降伏させたあと、
一日も早く日本を降伏させるために、
グルーを起用した。
ルーズベルトは「天皇の地位保全」を主張する
グルーに希望を託したのだ。
ところがルーズベルトの急死、
トルーマンの大統領就任によって、
グルーの対日政策は無視される。
日本を降伏させるわけにはいかなかったからだ!
原爆を落とすために!
日本が主体の正しい歴史を知るには
小林よしのり『戦争論』全3巻がおすすめです。
『ゴーマニズム宣言』『わしズム』ではイラクやアフガニスタンについて
マスコミが報じない正しい情報が得られます。
※ダニエル・エルズバーグ
元国防総省職員・平和運動家(米国)論文↓
http://www.hiroshimapeacemedia.jp/mediacenter/article.php?story=20090821150520891_ja
【いわゆる従軍慰安婦について】
☆小林よしのりvs上坂冬子(対談)
http://www.ianfu.net/opinion/vs.html
☆古森義久氏が“従軍”慰安婦問題で米メディアに真っ向から反論
(日本語字幕あり)
http://vision.ameba.jp/watch.do?movie=216887
☆青木直人NLC(ニューズレター・チャイナ)「通信」
日本の核保有への警戒。
それは中国ばかりか米国も同様であり、
米中両国はこうした時期だからこそ、
鳩山民主党党首の『非核三原則を法制化』との発言に
狂喜乱舞しているはずです。
誕生する民主党政権は日本の「阿Q」政権となるでしょう。
大衆迎合と政治の混乱、祖国なきコスモポリタン、
時代への総括なき全共闘世代の狂い咲き。
これらがごっちゃになって、
日本の政治を間違いなく迷走させるでしょう。
NLC通信より http://aoki.trycomp.com/
投稿: 七生 | 2009年9月14日 (月) 11時28分