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2010年3月24日 (水)

渡辺浩『日本政治思想史 ― 十七~十九世紀』東京大学出版会(2010年)(1)〔PDFファイルを添付20180214〕

 待ちに待った本。しかし、読むとどうも様子が変だ。なんと言うかどこか拍子抜けの印象を受ける。これが序章、第一章を読み終えての今の感想。

 私は、渡辺浩氏が東大を定年退官するこのタイミングで、「日本政治思想史」なるタイトルの本を出す、と聞いたとき、それはそれはスゴイ本が出るのだろう、と思い込んでいた。浩瀚で、知的にシャープで、「日本政治思想史」分野で、この後、十年間は決定版と言われるような本だと期待していた。

 この本は、渡辺浩氏による、「日本政治思想史への招待状」(五百頁!)である。書きっぷりが率直、楽しそうで、その点とても好もしい。ただ、「日本政治思想史」の、斬新で、巨視的な新機軸を求めていた私にはどうも素直に喜べない。

 それでも、これは彼の定年後の出版計画のごく一部なのかもしれない。渡辺浩の畢生の大著を読みたい。それが偽らざる私の希望である。

〔参照〕このブログにおける本書の書評が完結している。(2010年10月追記)
(1)~(10結)、および (番外編)

のつごう11編である。ご笑覧戴ければ幸甚。

※閲覧の方の便宜のために、本記事をPDF化しました。ご利用頂ければ幸甚です。20180214追記〕

「watanabe_hiroshi_a_history_of_japanese_political_thought_1600_1901.pdf」をダウンロード

(2)へ続く。

渡辺浩『日本政治思想史 ― 十七~十九世紀』東京大学出版会(2010年)
SBN978-4-13-033100-5, 2010年02月25日刊、 判型:四六, 496頁

主要目次と弊ブログ書評のおおよその対応表

本書目次 弊ブログ書評No.
序章 本書への招待 (1)
第一章 「中華」の政治思想――儒学
第二章 武士たちの悩み (2)
第三章 「御威光」の構造――徳川政治体制
第四章 「家職国家」と「立身出世」
第五章 魅力的な危険思想――儒学の摂取と軋轢 (3)
第六章 隣国の正統――朱子学の体系
第七章 「愛」の逆説――伊藤仁斎(東涯)の思想 (4) (5)
第八章 「日本国王」のために――新井白石の思想と政策 (6)
第九章 反「近代」の構想――荻生徂徠の思想
第十章 無頼と放伐――徂徠学の崩壊 (7)
第十一章 反都市のユートピア――安藤昌益の思想 (8)
第十二章 「御百姓」たちと強訴
第十三章 奇妙な「真心」――本居宣長の思想
第十四章 民ヲウカス――海保青陵の思想 (9)
第十五章 「日本」とは何か――構造と変化
第十六章 「性」の不思議
第十七章 「西洋」とは何か――構造と変化 (10)
第十八章 思想問題としての「開国」
第十九章 「瓦解」と「一新」
第二十章 「文明開化」
第二十一章 福沢諭吉の「誓願」
第二十二章 ルソーと理義――中江兆民の思想
あとがき

 

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