渡辺浩『日本政治思想史 ― 十七~十九世紀』東京大学出版会(2010年)(1)〔PDFファイルを添付20180214〕
待ちに待った本。しかし、読むとどうも様子が変だ。なんと言うかどこか拍子抜けの印象を受ける。これが序章、第一章を読み終えての今の感想。
私は、渡辺浩氏が東大を定年退官するこのタイミングで、「日本政治思想史」なるタイトルの本を出す、と聞いたとき、それはそれはスゴイ本が出るのだろう、と思い込んでいた。浩瀚で、知的にシャープで、「日本政治思想史」分野で、この後、十年間は決定版と言われるような本だと期待していた。
この本は、渡辺浩氏による、「日本政治思想史への招待状」(五百頁!)である。書きっぷりが率直、楽しそうで、その点とても好もしい。ただ、「日本政治思想史」の、斬新で、巨視的な新機軸を求めていた私にはどうも素直に喜べない。
それでも、これは彼の定年後の出版計画のごく一部なのかもしれない。渡辺浩の畢生の大著を読みたい。それが偽らざる私の希望である。
〔参照〕このブログにおける本書の書評が完結している。(2010年10月追記)
(1)~(10結)、および (番外編)
のつごう11編である。ご笑覧戴ければ幸甚。
※閲覧の方の便宜のために、本記事をPDF化しました。ご利用頂ければ幸甚です。〔20180214追記〕
「watanabe_hiroshi_a_history_of_japanese_political_thought_1600_1901.pdf」をダウンロード
(2)へ続く。
渡辺浩『日本政治思想史 ― 十七~十九世紀』東京大学出版会(2010年)
SBN978-4-13-033100-5, 2010年02月25日刊、 判型:四六, 496頁
主要目次と弊ブログ書評のおおよその対応表
本書目次 | 弊ブログ書評No. | |
序章 | 本書への招待 | (1) |
第一章 | 「中華」の政治思想――儒学 | |
第二章 | 武士たちの悩み | (2) |
第三章 | 「御威光」の構造――徳川政治体制 | |
第四章 | 「家職国家」と「立身出世」 | |
第五章 | 魅力的な危険思想――儒学の摂取と軋轢 | (3) |
第六章 | 隣国の正統――朱子学の体系 | |
第七章 | 「愛」の逆説――伊藤仁斎(東涯)の思想 | (4) (5) |
第八章 | 「日本国王」のために――新井白石の思想と政策 | (6) |
第九章 | 反「近代」の構想――荻生徂徠の思想 | |
第十章 | 無頼と放伐――徂徠学の崩壊 | (7) |
第十一章 | 反都市のユートピア――安藤昌益の思想 | (8) |
第十二章 | 「御百姓」たちと強訴 | |
第十三章 | 奇妙な「真心」――本居宣長の思想 | |
第十四章 | 民ヲウカス――海保青陵の思想 | (9) |
第十五章 | 「日本」とは何か――構造と変化 | |
第十六章 | 「性」の不思議 | |
第十七章 | 「西洋」とは何か――構造と変化 | (10) |
第十八章 | 思想問題としての「開国」 | |
第十九章 | 「瓦解」と「一新」 | |
第二十章 | 「文明開化」 | |
第二十一章 | 福沢諭吉の「誓願」 | |
第二十二章 | ルソーと理義――中江兆民の思想 | |
あとがき |
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