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2010年7月 1日 (木)

戦犯は、本田(80%)、岡田監督(20%)

■勝ち切れなかったことが最大の敗因

 なぜ勝ち切れなかったのか。それは得点を挙げられなかったから。なぜ得点できなかったのか。それは攻撃陣が少ないチャンスを得点に結び付けられなかったから。

チャンス1 前半1分 大久保 → せっかく敵陣ペナルティエリアの左外側でボールを奪ったのに、そして大久保は右利きだから、中央に切れ込みながら打てるという最高のシチュエーションなのに、大して踏み込みもせず、とりあえず大味に打っちゃった。ファーストシュートだろうがなんだろうが、とにかくFWの端くれなんだから、ゴールを狙って大事に必死に蹴り込めよ、大久保。こういう大事なゲームでは、チャンスなんてそうそうないのだから。大久保がFWとして使われなかった原因がこれだろう。

チャンス2 前半21分 松井 → シュートはうまかったが、バー直撃。ジャブラニはイメージよりも大抵、浮き加減になるのは承知だったはずだが・・。残念。

チャンス3 前半40分 本田 → この日、唯一と言ってよいビッグ・チャンス。自陣でボール奪取。カウンターから松井が右サイドをドリブル。相手DFはゴールに戻りながらの守備。ゴール30m手前で相手DF二人。日本は、右・松井、センター・本田、左・大久保で、三人。完全に数的優位。本田はランニングしながら左手で、俺の前に出せ、と要求。ところが、松井のラストパスがランニングしている本田に対してマイナス気味にくる。本田、急ブレーキをかけ減速するが、それでも少しつんのめりながらのダイレクト・シュート。インステップでシュートしたかったろうが、少しアウトにかかってしまい、ゴール左へ。一枚余っていた大久保は完全なフりー。本田がフェイクして、そっと大久保に流せれば、いくらドジな大久保でも決めていたのではないか。本田もすでに自分がシュートするイメージで来ているから、難しいとは思うが、ノーマークの大久保を使う手もあったと思う。また、右足アウトで一度トラップしつつ前に出した上で、シュートという判断もあり得たろう。自分で打つなら完全に決めるべきだったし、よりシュート成功確率の高いフりーの選手にパスする素早い判断もあってもよかった。大久保のポジションに岡崎がいれば、パスしたかな?

 なにはともあれ、このゲームはこのチャンスが全て。ここでどんな形にしろ、得点できなかったことが直接の敗因。同じレフティでもロッペンなら決めていたろう。それが今の本田(24歳;シュート枠内率56%、9本中5本)とロッペン(26歳;シュート枠内率100%、3本中3本)の差だ。本田が世界最高の攻撃的MFになりたいのなら、シュート枠内率を100%に上げること、決定的瞬間での、シュートなのか、パスなのか、の判断の精度・スピードを上げること。これが絶対要件だろう。

■なぜ、駒野ではなく中村憲剛に蹴らせなかったのか?

 後半、攻撃に転じるため、岡田監督は、次々と攻撃的選手交替のカードを切った。岡崎、中村憲剛、延長戦での玉田。この切り方を見て、これがPK戦にも備えての投入だとしたら、すごいことだが、とすぐに思った。相対的に疲労の蓄積していない、シュートの打てる攻撃的選手がいれば、PK戦においても有利だからである。ところが、PK三人目に駒野が登場した。タダでさえ疲労がたまっているし、このジャブラニは浮き球になりやすいわけだから、守備的選手をあえて指名する岡田監督の意図がよくわからない。この人選は監督のミスだろう。PKを外すかもしれない確率の高い選手に蹴らせたからである。

■ついでに、オランダ戦の岡崎のラスト・シュートに関して

 オランダ戦で1でも勝ち点を拾えなかったのは、岡崎のあの抑えの効かないシュートのせいである。シュート枠内率60%。FWがこれでは失格ではないか? ちなみに大久保のシュート枠内率50%。本田が大久保へのラストパスを選択せず、自分で決めにいったのもこのせいかも知れない。

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コメント

>そうですか ではアジア杯のオーストラリア戦でも見直すといいです
>ここでも3人目に駒野が蹴ってしっかり決めてます
>岡田監督は信頼していたんだと思います
>ちなみに4人目には高原が外してます
>あまり結果論でいわないほうがいいですよ


なぜ、結果から物を言ってはいけないんですか?
勝っていたら誰も何も言いません。
今回は、現にWorldCupベスト8を目前にして負けちゃったでしょ?
少なくとも、私は、それについて、原因・理由を知りたいと思っています。

私は、「誰が悪いのか」を問うていません。「何が悪かったのか」
を知りたいだけです。そして負けの要因の80%は90分間で得点
出来なかったことにあると思いましたのでそう書きました。
PK戦の負けなどつけたりのようなものです。だから、
本音をいえば、どうでもよい気がします。90分間で
勝ちきれる力が無ければ、ベスト8に出ても無残な返り討ちに
あうのが落ちですから。

また駒野に関してですが、私は彼のことをあまり知りません。
守備に貢献しているのは、ゲームを見ていれば分かります。
少し、駒野のことを調べたら、相当能力の高いSBで、キックの精度
もスピードも評価が高い。ただし、この日のゲームでは、少なくとも
攻撃ではあまり冴えていませんでした。

前半39分の、オーバーラップした駒野が右サイドに持ち込み、クロスが、ゴールラインを割るシーン。また、特に懸念したのは、後半14分、本田から右サイドに展開して、駒野が切り返しから左足でシュートしますが、ジャストミートせず、ゴール左に大きく外れています。評価にあるように普段の高精度のキックを持つ駒野では考えられないミスなのだ
ろうと思います。

それを見ていた私は、駒野がPK戦で出てきたときは驚きました。
岡田監督は駒野の正確なキックを信頼していたのでしょう。おそらく、
PK戦を想定した練習でもキッチリ決めていたのでしょう。
しかし、駒野の疲れ方を見れば、この日にPKを蹴らせるのが
適切だったかどうかは、検討の余地があると考えます。その選択が、
その時蹴るメンバーに入っている他の選手との比較で最善だったのか、
という相対的な検討で、です。

駒野が決めて、日本代表がベスト8に進んでいるのなら、無論、
何も言いません。しかし、現にすすめなかった。ならば、その理由を
知りたい。駒野に問題があるわけではない、とするならば、岡田監督の
キッカーの選び方に問題があるのではないか、と思いました。それだけです。
他のだれかが失敗していてもその理由・原因を考えずにはおれない。ただ、それだけです。

投稿: renqing | 2010年7月 6日 (火) 04時51分

>はい、知りませんでした。

>「PK職人」と「120分間走ったあとのPK戦の職人」が同じだということを。

そうですか
ではアジア杯のオーストラリア戦でも見直すといいです

ここでも3人目に駒野が蹴ってしっかり決めてます
岡田監督は信頼していたんだと思います

ちなみに4人目には高原が外してます

あまり結果論でいわないほうがいいですよ

投稿: | 2010年7月 5日 (月) 15時51分

はい、知りませんでした。

「PK職人」と「120分間走ったあとのPK戦の職人」が同じだということを。

投稿: renqing | 2010年7月 5日 (月) 12時14分

この人

駒野がPK職人ってこと

知らないの?

投稿: | 2010年7月 5日 (月) 10時34分

監督の采配ミスを指摘することが、監督「叩き」になると即断する手合いが多数いる間は、つまり、「批判」と「非難」が別ものであることが理解できない者がうようよしている間は、日本フットボールのベスト16進出は、残念ながら「まぐれ」のままだろう。

下記の宇都宮徹壱氏の記事でも、一度読まれる事をお勧めしておこう。

ベスト8への執着
宇都宮徹壱の日々是世界杯2010(6月29日@プレトリア)
http://southafrica2010.yahoo.co.jp/news/cdetail/201006300007-spnavi

投稿: renqing | 2010年7月 3日 (土) 01時14分

こういうこと言ってるやつって誰がPK外しても岡田を叩くんだろうね

投稿: | 2010年7月 2日 (金) 19時42分

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