戦評：Borussia Dortmund 2 - 0 VfL Wolfsburg

　このゲーム、前半の流れは Wolfsburg にあった。決定機は２度。これが成功していたら、2-0 で Wolfsburg が逃げ切っていた可能性は高い。

■一度目の決定機
　前半、Dortmund 守備陣に対してWolfsburg攻撃陣が高い位置からプレンシングをかけ、Dortmund 守備陣がかわし切れないところを、Diegoがボールを奪取。それをWolfsburg選手に預け、自分はペナルティエリアに左から侵入。そこからボール はペナルティエリアすぐ外でポストプレーに入ったDzekoに渡り、胸で落とし、反転してペナルティエリアにDortmund守備陣を引き連れて侵入。 Dzekoは細かいステップで体を入れかえながら、DortmundＤＦを一人抜き去り（193cmもあるのになかなかのテクニック、平山に見習わせたい -_-;）、フりーでゴールエリア付近まで持ち込み、左足でシュートのようなグラウンダーパスのような強いボールをゴールマウスと平行に打つ。ゴール正面 に侵入していたDiegoの右足は届かず、ボールは逆サイドに流れ、ゴールラインを割る。

　これは、パスではなく、シュートを選択すべきだった。Dzekoは左右どちらも使えるようなので、右足で巻き込むようなシュート（2010WC決 勝トーナメント1回戦、ウルグアイ・韓国戦のSua'rezの決勝ゴールみたいなやつ）を、少なくとも枠内に打てていれば、リバウンドになったとしても、 Diegoも詰めていたし、自分でも再チャレンジできたろう。昨シーズンのブンデスリーガ得点王としては悔いの残るチャンスだった。ボールが自分の左サイ ドに来たための判断だったかもしれないが、それなら左足でキーパーの股抜きのシュートを狙ってもよかったようにも思う。

■二度目の決定機
　DortmundのLucas Barriosの惜しいヘディング・シュートなどもあったが、まだ流れはWolfsburg。

　センターライン付近からロングパスが左サイドに流れたDzekoに通る（アイコンタクトを送っていた）。Dzekoの巧みなボールキープで味方の 上がるのを待ち、左サイドをマルセル・シェファーが上がってきたころに、かっこ良くヒールパス。左サイドのゴールライン付近からシェファーの折り返しが来 ると、ペナルティエリアに既に侵入し、手を挙げボール要求していたDiegoへ。Diegoは自分の股を通しながらヒールで方向を変え、ペナルティライン 付近で待っていたDzekoへ。Dzekoは、守備に入っていた香川を軽くかわし、右足で巻き込むようなシュート。これがクロスバーに跳ね返されてしま う。これが枠内にいっていれば確実に１点で、Wolfsburgは流れを維持したまま後半に入れていただろう。ちなみに、香川はDzekoの動きに追いつ けずつんのめってかっこ悪かったが、これはDzekoの動きがすごかったのではなく、その前のDiegoの華麗でファンタスティックなワンタッチ・ヒール パスによって完全に香川が体勢を崩していたためである。

　ま、とにかく、この二つの決定機を、どちらか一つでも得点に結び付けられていたら、Wolfsburgは勝利していた可能性は高い。チームのエー スが２人絡んで得点できればチームの士気は一気に高まるし、リズムに乗ったら、このコンビは相当の破壊力を持ちそうだったからでもある。ま、この日の Dortmundにはツキがあったといえる。

■後半、Dortmund一点目
　後半は、ゲームの流れはDortmundへ。50分にSahinが素晴らしいミドル・シュートをゴール左隅に決める。もう一度同じシュートを打てと言われても打てないだろうというくらい見事なもの。ただ、その前線で香川が縦に走り出していて、そこに WolfsburgＤＦが二名ひきつけられていたことが、完全にフりーで打てた伏線にもなっていた。

■後半、Dortmund、香川による二点目
　67分、スルーパスを受けた香川がよく落ち着いて決めた。しかし、これもLucas Barriosのペナルティエリア侵入にWolfsburgＤＦ２人が引き付けられ、そのぽっかり空いたスペースに非常に良いタイミングで香川が入り込んだ賜物だ。
　とにかく、敵ＤＦの間に侵入するタイミングが素晴らしい。クロップ監督が香川を「信じられない動きをする」と激賞するのも頷ける。

　Lucas Barriosという前線で決定力のあるＦＷと動きの素晴らしいＭＦ香川のコンビは、今シーズン、相手チームのＤＦを悩まし続けるだろうことは間違いない。

【動画】香川真司ゴール!ドルトムント×ヴォルフスブルク[10/11]：YouTubeサッカー動画！