ジャパンに必要なのは、シャビではなくビジャである
今週の月曜日(9/6)、フジの《すぽると》において、ヴェンゲル(イングランドアーセナル監督)のインタビューを放送していた(「【WORLD QUEST】ヴェンゲル監督が見た日本代表」)。それほど長くはなかったが、中身の濃い、興味深いものだった。おそらく、放映分以外にも相当しゃべっていたものと思われる。
内容は、六月のWCにおけるジャパンの戦いぶりに関して、ディフェンスからオフェンスまで多岐にわたる。私もメモを取っていたわけでもないのでうる覚えだが、残像をかき集めて備忘録としておこう。
■今回のジャパンの守備の成功は、強力な2枚のセンターバックに負う
中澤、トゥーリオを激賞。これまでジャパンがWCなどで成功を収めら
れなかったのは、CBに人材がいなかったから。今回はこの2人がゴール前でことごとく敵の攻撃を跳ね返していた。しかし、次回ブラジルWCでこの2人を想
定できるか。年齢的に難しいだろう。だとすれば、ジャパンは優れたCBコンビの後継者を急ぎ作らなければ次回の成功は覚束ない。現在、世界的に見ても、
CBは人材難だ。アーセナルでさえ、常に問題となる。2人の代わりを見つけるのは簡単ではない。
■サイドバックにはプレーメーカーの要素も求められている
今回のジャパンのSBはクロスの精度にかなり問題があった。これがジャパンの攻
撃オプションを少なくしていた。現代フットボールは、センターの守備は堅い。したがって、サイド攻撃をオプションに加えない限り、攻撃が機能しない。つま
り、それは現代フットボールにおいては、SBは攻撃を組み立てるプレーメーカーのセンスとテクニックを持たなければならないということを意味する。
■MFは両足を同じように使えなければならない
現代フットボールでは判断とプレーの速さが求められる。そこでは、1秒の違いが決定的なも
のとなる。したがって、特にMFにおいて、ボールコントロールのために、ボールを利き足に持ち直すことは致命的なタイムロスを意味する。MFは両足を自在
に使えることが必要だ。その1秒がチャンスにも危機にもなる。
ここで、ある記事から参考になる部分を抜粋しておく。
「 試合後、オランダ人の記者が「おめでとう」と言ってきた。「日本の強さはエクストラな価値を持ったプレーヤー、本田がいることだ」と彼は言った。「本田は すごい。でも僕は同じサッカーをするものとして小野伸二が大好きなんだ。あの両足のテクニックは僕もあこがれる。(かつての同僚の)ファン・ホーイドンク に聞いてみろ。今でも彼は『最高にうまい選手はシンジだった』と言うぜ」と続けた。」「おめでとう」――オランダから愛を込めて 中田徹の「南アフリカ通信」
■ジャパンに必要なのはシャビではない。ビジャだ。
ジャパンに、シャビのタイプの選手は幾らもいる。しかし、ビジャのような選手がいない。ジャパンが前回の結果を上回るために必要なのは、シャビではなく、ビジャだ。
私(ブログ主)の記憶では、本当に大事なゲームで、ここで「点を入れてくれ」というとき、「殺し屋のメンタリティ」(オシム元ジャパン監督)を もって、敵ゴールに蹴り込んでくれたのは、アトランタオリッピック日本代表時の前園真聖と、アジアカップにおいて日本人初の得点王となった、アジアカップ 2007時の高原直泰だ(特に、準々決勝での対オーストラリア戦の同点ゴールはしびれた)。
いまの日本のビジャ候補は誰だろう。香川真司は才能豊かで将来明るい選手だが、なんだかんだ言ってもタイプ的にシャドウ・ストライカーであり、 CFという感じではない。森本貴幸が成長し続けてくれていれば候補だったのだが、この2年間、クラブでは怪我や監督交替などがあり、レギュラーを確保でき ていない。今少し可能性を感じるのは、ガンバ大阪の平井将生あたり。夢を感じさせるのは、U19日本代表でU19スペイン代表から2得点したセレッソ大阪 の永井龍か。
とにかく、ベンゲルにいわれるまでもない。出でよ、日本のビジャ!
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