川北稔『イギリス近代史講義』講談社現代新書(2010年)〔その4〕
■リヴァプール vs. マンチェスタ
この書に、England Premier Leagueと関連の深い話題があったので、引用しておく。
近代都市と中世都市とは別のもので、中世以来の特権を持っているような都市は繁栄しない、という説もかつ てはありました。しかし結果的には、イギリスでは現在でも繁栄している都市のほとんどは、中世からの都市です。これはヨーロッパでもそうです。それは、都市には自治体がないと主体的には動けないということを示しています。リヴァプールとマンチェスタをくらべると、そのことはよくわかります。
リヴァプールは、見かけは農村みたいなところですが、中世から司教座がありましたので、シティとよばれてきました。自治権が認められているので、都市自治体がありました。このことが、あとの時代になると、たとえばガス灯をつけ、道路を整備し、水道をつけるといった事業をおこなえる前提になりました。しかし、 そのころのマンチェスタにはそれをおこなう主体がありません。だから、両都市の発展を見ていくと、どうしてリヴァプールが一歩リードしています。
川北稔『イギリス近代史講義』講談社現代新書(2010年)、p.75
この書の重要な1つのメッセージに、イングランドにおける資本主義の興隆には、庶民の生活様式の「都市化(都会化)」が大きく関係している、というものがある。ザックリ言えば、「産業革命」以前に「都市化(都会化)」が進行していたのである。付言すれば、自治都市のことを、 corporate town と言う。「法人都市」である。
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