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2010年12月 3日 (金)

川北稔『イギリス近代史講義』講談社現代新書(2010年)〔その3〕

■life cycle servant、boarding school、adoption

・・・、だいたい十四歳前後から短くても七年、長ければ十年以上、どこかよその家に奉公に行く(本書、pp.26-27)

 上記は家族復元法により明らかになった西北ヨーロッパ、とりわけ近世イングランドの家族の特徴である。これは庶民階級(レーバー・クラス) の場合である。

では、ジェントルマン階級にはないのか。そうでもない。それに相当するのが、近代に発達した、boarding school(寄宿舎学校)、である。ようするに、身分の上下を問わず、ティーンエージャーになると、親元を離れる、というのが、イングランド、西北ヨー ロッパ(すなわち、アルプス以北)の家族の構造なのである。また、ヨーロッパ人が、途上国などからそれほどの抵抗なく、養子縁組(adoption)を受け入れられるのも、歴史的に培われた「よその子を自分の家に入れ、自分の家族として扱う」という life cycle servant があったからであろう。ヨーロッパにおける人身売買の話は、別途書くつもり。

その4〕へ

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