なぜ、バルサはセスクにこだわるのか?
バルサというフットボール・マシーンは、レギュラー陣全員が必要不可欠なパーツと言うレベルまで、精巧に組み上げられて機能している。そして、今のバルサのレギュラーとは、2010年11月29日レアル・マドリーに先発した以下の11人である。
位置 | 番号 | 選手名 | 生年 | 年齢 | 平均年齢 |
GK | 1 | ビクトル・バルデス | 1982 | 28 | |
DF | 2 | ダニエウ・アウヴェス | 1983 | 27 | 28.25 |
DF | 3 | ジェラール・ピケ | 1987 | 23 | |
DF | 5 | カルレス・プジョル | 1978 | 32 | |
DF | 22 | エリック・アビダル | 1979 | 31 | |
MF | 6 | シャビ | 1980 | 30 | 26 |
MF | 8 | アンドレス・イニエスタ | 1984 | 26 | |
MF | 16 | セルヒ・ブスケツ | 1988 | 22 | |
FW | 7 | ダビド・ビジャ | 1981 | 29 | 25 |
FW | 10 | リオネル・メッシ | 1987 | 23 | |
FW | 17 | ペドロ | 1987 | 23 |
このマシーンの心臓部はMFの3人であるが、なかでもシャビがマシーンの結節点といえる。そして、今のバルサにおいてシャビの代わりはいない。それはシャビが足首の故障で先発できなかった何試合かのバルサのパフォーマンスを見ればよくわかる。ところが、シャビも今年、30歳にいたりプレーヤーとしてのピークを迎えている。残念ながら肉体的にはこれから下降線をたどるだろう。しばらくはそのマイナス面を戦術眼や読みの向上でカバーしていくとしても、それにも限界はある。ここ1、2年のうちにシャビと平行して使える「代わり」を用意する必要がバルサにはある訳だ。トップ・チームの控えMFにカンテラ出身の20歳前後の有望株も数人いるが、その何人かがシャビと互換性を持つにはまだ時間がかかるだろう。
こういった事情を勘案すると、バルサのカンテラ出身で、スペイン代表でもシャビと互換性を有し、すでにその絢爛たる才能を花開かせつつあるセスク(23歳)が、理想的なシャビの後釜ということに落ち着く。バルサとしては相当の代償を支払っても、セスクは獲得しなければならないチーム事情なのである。
それにしても、アーセナルというビッグ・クラブの、既にビッグ・ネーム化したキャプテンを引き抜くには尋常な資金ではすまない。実は、バルサが100年を超える歴史で初めて、スポンサーのロゴをユニフォーム入れるというニュースが先ほど流れた(カタールの財団、5年で166億5千万円)。この巨額の資金は、まず第一にセスク獲得のためと私は見る。昨年のイブラ獲得の失敗で高い授業料を支払っているわけだから、レアルのような補強の仕方(他チームのビッグ・ネームを金で連れてくる)はバルサには向かないことは明らかとなっている。
カンテラ以外からの補強対象は、バルサのチーム・コンセプトを理解し、体現でき、残り使用期間の長い、つまり若手のクラック(名手)が基調となるだろう。来年のバルサとセスクの動きには注目だ。
参照 ⇒ スポーツナビ|欧州サッカー|スペイン[リーガ・エスパニョーラ]|クラシコの幻想、哲学を極めた忘れ難き夜(1/2)
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