バルサとイブラが得たもの
今夏のイブラヒモビッチの、バルサからミランへの買取条件付レンタル移籍は、イブラ、バルサ両者にとって苦い記憶のみを残したと思われている。かく言う私もその一人だった。ところが、下記の発言を読み、少し考えを変えることにした。
サッキ氏:「イブラはV・バステンのレベルにある」 - Goal.com
■サッキ「インテル時代のイブラも決定的ではあったが、今のようにモダンな選手ではなかった。」
つまり、インテル時代のイブラと、バルサの経験を経てミランの一員として再びカルチョの人となった今のイブラには、少しく違いが発生している、と
いうのである。サッキのいうところに従えば、インテル時代の旧来型CFから、チームの勝利に貢献できるキー・プレーヤーに変貌したことになる。
この、イブラのフットボーラーとしての成長には、バルサでの1シーズンが決定的な影響を与えていると考えるべきだろう。彼がバルサで要求されたレベルのコ
レクティブなプレーにわずか1シーズンでフィットするには、固有のプレースタイルを持つ28歳のカルチョ・スターには無理があったのは間違いない。だか
ら、イニエスタも「イブラヒモビッチにはもう少し時間を与えるべきだった」とコメントしている。しかし、イブラは彼のフットボール人生を通じて恐らく最初で最後の挫折を通じて、結果的にプレーの幅を広げ、ファン・バステンと並び称される評価を受けるまでになったわけだ。
一方、ビジネス的に手酷い失敗をしたバルサだが、そこから得たものもありそうだ。
アフェライは24歳のオランダ代表MF。代表のチームメートからも極めて高く評価されている。そのアフェライをバルサは300万ユーロ(約3億3千万円)ほどで獲得している。バルサのFWは、メッシ、ビジャ、ペドロと揃い、強化すべきは、故障の心配のあるシャビ、イニエスタのMFであるわけだから、これは合理的な投資と評価できる。つまり、高額なビッグネーム(イブラ)に懲りて、成長余力のある比較的安価な若手に投資対象を切り替えたといえる。少なくとも、アーセナルからMFセスクが獲得できるかどうか見通しの立たない現状では打つべき手を打ったと いうことだろう。
これなら、イブラ、バルサともに今回の事件から学習と成長を得たと言ってもよいのではないか。
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