この最後の者にも
Ruskin, John, 1819-1900.
Unto this last : four essays on the first principles of political economy (1862)
中公の『世界の名著』に収められていた「この最後の者にも」を、ある読書会で読んだのは、かれこれ20年ほど前だ。2011年3月11日を知った今だからこそ、読むに値するはず。
震災後の復興構想に、BI(基礎所得保障)を据え、その財源には復興国債の日銀直接引き受け(ないし政府通貨)を主張するアイデアがある。下記。
そこで引用されていた新約聖書の一節にあるのが、「この最後の者にも」である。確かに、経済学として巷間に溢れるテキスト類とは全く異質の思想だが、《生きるための経済》を考えなくてはならない現在、緊急に検討すべきだろう。
国債の日銀直接引き受けに関して、「中央銀行の独立性」の侵犯などとしたり顔で批判する御仁が多くいる。しかし、そういう手合いは、その代表例で あるイングランド銀行などは、そもそもその設立が、軍事費調達のための、実質的に王国政府の機関銀行として発足していることを知らない。また、米国FRB が実は巨大銀行や巨大証券会社のカルテル組織であり、その金融業界の利益代表であることにも注意を払わない。こういう薄馬鹿な手合いの話をありがたがって 聞く連中は、馬鹿の二乗=(馬鹿)2 以外の何者でもない。《生きるための経済学》が緊急に必要な理由だ。
ジョン ラスキン この最後の者にも・ごまとゆり (中公クラシックス)
HTMLテキストなら→Unto this last : four essays on the first principles of political economy
PDFファイルなら→unto_this_last.pdf (application/pdf オブジェクト)
〔参照:弊ブログ関連記事〕
伊藤邦武『経済学の哲学 -19世紀経済思想とラスキン- 』中公新書(2011年)
経済学の第一原理 = Pure Air, Water, and Earth (John Ruskin)
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