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2011年11月24日 (木)

インクリメンタリズムと合理性の限界( Incrementalism under bounded rationality )※20161208加筆

 行政学や公共政策学における意思決定理論として、インクリメンタリズム(incrementalism=増分主義、漸進主義)なるものが話題になることがある。

 要するに、都市や国家規模の予算編成などでは、予算をゼロベースから考えるのではなく、変更する分(増額する分)のみに着目して意思決定するほうが合理的であり、実際、予算編成はそのように決定されている、というもの。リンドブロム(Charles E. Lindblom)が提唱者。

 この理論は、合理的-包括的決定の理論(rational-comprehensive approach)を批判して登場した。日本でも中央官庁の予算編成の硬直性に関して野口悠紀雄 が、一見硬直的に見えるが、増分に関しては時々の行政需要に応じて弾力的に予算配分されていることを実証的に指摘している。

 結局、これも塩沢の複雑系の議論( Shiozawa Theory on the Complex System )に乗るもので、特に「合理性の限界 bounded rationality 」「思考の節約 economy of thinking 」「習慣論 habit theory  or  theory of routine behavior 」と言った点から複雑系社会科学の中でその真価が明らかになるだろう。

 こういった議論が理論的に深まって、市民社会に還元できていれば、昨今の「事業仕分け」に対する総合的評価や中央官庁の予算編成の硬直性を既得権益的視点以外からも検討できたのにと残念だ。

〔参照〕
1.『新訂版現代政治学事典』ブレーン出版1998年 、「インクリメンタリズム」(森田朗筆)
2.弊記事 「あたりまえ」の認識論 ※20161208追記

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