瓢箪から駒 誰も知らなかった「明治維新」〔徳川史 結〕
徳川「私」権力の突然死は、「公議輿論」に沿って政治は行われなければならないという共通の理念はあっても、具体的な政治プログラム、青写真なしで「倒幕」を進めていた薩摩、長州、土佐、越前を含む諸勢力を困惑させ続け、当座の雨露を凌ぐためのバラック建築のような権力の創出を余儀なくさせた。これが「明治維新」の実態である。そこに必ずや、権力の一時的空白期間が生まれる。この時、力を得るのは常により過激な言説であり、その悲劇的代表例が、近世日本人の心性に根本的打撃を与えた「文化大革命」、すなわち「神仏分離」、「廃仏毀釈」であった。これ以降、明治の男たちは「兵士」となったのである。
※「明治維新」とボルシェヴィキ革命の類似性については、下記のイザイア・バーリンの回想の一文をご参照されたし。
蘇るレーニン(2)
〔参照2〕私の徳川史素描が一応完結している。ご笑覧頂ければ幸甚。
刀狩りはPKOである〔徳川史①〕
平和の配当 徳川前期のベビーブームと社会の複雑化〔徳川史②〕
支配からマネジメントへ ― 啓蒙の系譜(綱吉・白石・吉宗) ―〔徳川史③〕
徳川社会の自己調整 田沼ペレストロイカから寛政「紀律化」革命へ〔徳川史④〕
「ものいう人々」の登場 大衆社会としての化政期〔徳川史⑤〕
「世界史」との遭遇〔徳川史⑥〕
公儀から公議へ〔徳川史⑦〕
瓢箪から駒 誰も知らなかった「明治維新」〔徳川史 結〕
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