政府通貨を再検討する IMF
中央銀行ではなく、政府が発行する通貨を政府通貨という。この手の話題を聞くと一笑に付すのはたいてい「職業的経済学者」。
しかし、子どもでも、「政府にお金がないから、消費税10%にあげるの? それなら政府が作っちゃえばいいのに?」ぐらいはすぐに考え付く。経済に一家言あるビジネスパーソンのパパでも「そう簡単にはいかないんだよ」と応答するだろう。ところが、世界の通貨管理の元締めであるIMFはそうでもないらしい。
■引用記事
某MLでご教示いただいた。下記。
IMF's epic plan to conjure away debt and dethrone bankers - Telegraph
■ソース
International Monetary Fund (IMF) Documents and Publications -- Advanced search
Working Papers
このサイトの右サイドバーにある、 Working Papers の 2012 の August で下記を見て欲しい。
探すのが面倒な方は、下記論文のタイトルにリンクをつけてあるのでそのページにとび、 Free Full text をクリックすればPDFが入手できる。
The Chicago Plan Revisited
Benes, Jaromir ; Kumhof, Michael
Series: Working Paper No. 12/202
Date: August 01, 2012
この件に関する私のコメントは、後日。
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コメント
足踏堂さん
>マーフィーの法則
「経済学者にとって現実は例外である」
これは知りませんでしたが笑えました。
>承認制でしたっけ?
いえ、TBは自由です。私も規制がない他ブログにTBがうまくいかないときがあります。様子をみてリトライしていただくか、コメント欄に貴記事URLを貼り付けてみて下さい。
投稿: renqing | 2012年11月 7日 (水) 02時36分
よく引用されるマーフィーの法則ですが、「経済学者にとって現実は例外である」ってのは真理ですね。
経済学がここまでバベルの塔的に肥大化してしまった現状では、自分で何かを観察して記述するなんてする学者の卵は皆無で、ほとんどが何らかの「教典」に則って思考するだけなのでしょう。似非科学ですね。
ところで、久方ぶりに、ちょっと前の貴記事にトラックバック貼ってみたのですが、反映されていないようです。承認制でしたっけ?
投稿: 足踏堂 | 2012年11月 6日 (火) 18時23分
まつもとさん
社会科学で実験はなかなか難しい。消費者行動に関して実験経済学が出現し、これまでの新古典派消費者行動理論を大幅に訂正しつつありますが、これはまだごく一部。
したがって、実験のかわりに歴史の実例を調べる必要がある。にも関わらず、経済学者は愚かにも自惚れが強く、史実から帰納することを忌避しがちです。「歴史から理論を作れない」と。
というわけで、歴史上さまざにあった政府通貨を理論的に調べることを怠ってきています。
米国における南北戦争時のグリーン・バックなど。
日本人経済学者が特に犯罪的なのは、徳川期藩札の統計的、理論的研究が絶無に近いことです。徳川期は、貴金属貨幣発行は徳川氏のみの独占で、他の大名家では、結局、藩札ぐらいしか、通貨供給の手段がなかった。明治初期の太政官札発行は、諸藩での藩札発行経験が技術的裏づけになっていました。
データを収集し、そこから仮説を構成して検証する。これができないところに、現代経済学の《似非科学性》が見て取れますね。
投稿: renqing | 2012年10月30日 (火) 02時14分
政府通貨というと、学者さんでも反射的に「インフレが〜」「財政規律が〜」とか言い出す人が多いわけですが、けっきょく合理的に考えているというより、思考習慣によって判断している場合がほとんどなのでしょうね。
投稿: まつもと | 2012年10月29日 (月) 20時12分