David Hume からの問い(2)
先の記事で、David Hume の言を引いた。それに応答してそうな Immanuel Kant の言葉を思い出したのでメモしておこう。
「・・・。先入観は、それを植えつけた人々にも、そもそもこうした先入観を作りだした人々にも、いわば復讐するのである。こうして公衆の啓蒙には長い時間がかかることになる。
おそらく革命を起こせば、独裁的な支配者による専制や、利益のために抑圧する体制や、支配欲にかられた抑圧体制などは転覆させることができるだろう。しか し革命を起こしても、ほんとうの意味で公衆の考え方を革新することはできないのだ。新たな先入観が生まれて、これが古い先入観ともども、大衆をひきまわす手綱として使われることになるだけなのだ。」
カント「啓蒙とは何か」pp.13-14、永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編 (光文社古典新訳文庫)所収
〔参照〕
変わることの難しさ
| 固定リンク
「Kant, Immanuel」カテゴリの記事
- It is difficult to imagine that anyone would be able to improve on this volume in the foreseeable future.(2024.02.20)
- 徳川思想史と「心」を巡る幾つかの備忘録(3)/Some Remarks on the History of Tokugawa Thought and the "mind"(kokoro「こころ」)(2023.06.11)
- 徳川日本のニュートニアン/ a Newtonian in Tokugawa Japan(2023.05.18)
- Wataru Kuroda's "Epistemology"(2023.05.01)
- 黒田亘の「認識論」(2023.04.30)
「Hume, David」カテゴリの記事
- Glorious Revolution : Emergence of the Anglo-Dutch complex(2023.05.13)
- Instruction manual for our blog(2021.05.02)
- 「縁」と社会/ Nidana [fate] and society (2020.09.24)
- The discourse construction of reality/「現実」の言説的構成(2020.05.02)
- 弊ブログの取扱説明書/ Instruction manual for our blog(2020.03.10)
「備忘録」カテゴリの記事
- 変わることと変えること/ To change and to change(2024.02.16)
- Rose petals in the canyon(2023.10.25)
- 峡谷に薔薇の花弁を(2023.10.25)
- 身軽に問い、打たれ強く考える/ Ask agile and think resilient(2021.01.01)
- 「人文系“ワープア博士”」向けクラウドファンディング(2)(2020.09.27)
コメント
starfield さん、コメントありがとうございます。
上記にカントの言を引きましたが、だからと言って、人間は先入観なしで生きられるはずのものでもありません。なにしろそれまで生きてきた人生そのものが彼の(あるいは私たちの)世界そのものなのですから。だから、必要なことは、いずれにしろモノの考え方にはバイアスがかかっているのだから、反省的留保を持って思考するということに尽きるのではないかと思われます。
投稿: renqing | 2013年3月24日 (日) 01時26分
先入観とは確かにそうなのかもしれないですね。
生まれ育った環境が個々で違うので難しいですね。
投稿: starfield | 2013年3月23日 (土) 20時44分