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2013年6月 9日 (日)

三谷宏治『親と子の「伝える技術」』実務教育出版(2013)

 表紙の写真の小さな女の子の仕種があまりに可愛いので、つい買ってしまった。

 内容は・・・、とても良い本。著者の、親として、教育者としての実践と、敏腕経営コンサルタントとしての理論、をうまく融合させて説得力のある教育指南書となっている。

 容易に実践が可能で即効力がありそうなのは、第1章。次に第3章か。第2章はちょっとハードルが高そう。特にその後半の《文の構造化》は、ビジネスパーソン向けのスキルの焼き直しなのでなかなか難しい。第4章の前半は、一冊の本のボリュームとするために編集サイドから要請されてちょっと付け足しました感がある。別に邪魔にはならないが。「Column」に出てくる三谷家のエピソードは面白く微笑ましい。その最後に登場する就活中の三谷家長女氏の家事お手伝いとしてのエッセイはなかなか秀逸。三谷家流子育ての「論より証拠」か。

 本書「おわりに」に以下の言葉がある。

 言語能力は、思考能力と直結しています。日本語という、世界でも稀な複雑で豊かな言語を操れるようになることで、思考も感性も、深く豊かになっていきます。
 単純なワンワード・コミュニケーションしかしなければ、頭の中もそうなります。構造化して話すことをしなければ、構造的に考えることはできなくなります。相手の言うことをじっくり聴く訓練をしなければ、相手を理解することができなくなります。
 思考能力が言語能力を規定するのではなく、言語能力が思考能力を規定するのです。そしてその言語能力は、特に幼少期に鍛えられ、その子の大人になってからの「幸せ度」まで大きく左右するのです。
(本書、pp.187-8)

 幼児から小学生高学年、ぎりぎり中学1・2年生までの保護者には必読。なんらかのコーチング業務に携わるビジネスパーソンにも裨益するところが大きいので推奨。

 表紙の可愛い写真は三谷家長女氏と推測される。(笑)


三谷宏治『親と子の「伝える技術」』実務教育出版(2013)

目次

プロローグ 伝わらないのはなぜ?
・伝わらないのは曖昧だから~短くハッキリ
・伝わらないのは聴かないから~まず聴こう
・伝わらないのは小言ばかりだから~3倍ほめよう
・伝えるための3つの習慣(週間)
・「やる気」を引き出すために「任せる」・「ほめる」
・やる気を引き出す「任せ方」

第1章 脱ワンワード週間〈文章で話す〉
・「脱ワンワード週間」でケンカが減る
・JFAの挑戦~世界一になるためのコミュニケーション力
・子どもの自立のために、あえて「察しの悪い親」になる
・「脱ワンワード週間」の進め方~シールとシート
・クラスや学校単位でやるときに
・「面白さ」の価値
・親が変わる①自らが、気をつける
・親が変わる②察しの悪い親になる
・親が変わる③子どもの機嫌に左右されず少しがんばる
・子どもが変わる①小学校低学年「みんな、なかよしになれる」
・子どもが変わる②小学校高学年「部屋がきれいになる」

第2章 1分間スピーチ合戦〈ちゃんと話す・ちゃんと聴く〉
・「会話」をゲームにする
・まずキッチンタイマーを用意してください
・「1分スピーチ合戦」は準備・スピーチ・質疑応答
・1分スピーチ合戦でグチが減る・会話が増える
・構造的に伝えることを練習する
・「See Think Wonder」を構造で考える
・今日のできごとを「See Think Wonder」で
・やり直しOKで、とにかくゆっくりハッキリ話す
・決して途中で口をはさまずに、話を聴く
・質問する。短く1つだけ
・答える。逃げずに具体的に長すぎず
・評価し合う。評価項目を絞り込んで
・親が変わる①自分も本気でやる
・親が変わる②ネタもと・ネタノートをつくる
・構造の例①発想力につながる「類比」
・構造の例②論理力につながる「重要思考」
・構造の例③具体例・一般化・検証

第3章 ダイジルールでほめる〈相手のダイジなことでほめる〉
・「ほめる」ことでチャレンジが続く
・ポジティブさをネガティブさの3倍以上にする
・「ほめる」コツ①やったことをそのまますぐ復唱する
・「ほめる」コツ②「もっと教えて!」で持ち上げる
・「ほめる」コツ③「重要思考」でほめる
・わが家のルールをつくる~紙に書いて冷蔵庫に!
・ほめた回数を数えてみる
・ときどき叱る。ダイジなことでどうダメだったかを短く
・親が変わる①子どものダイジなことを理解する
・親が変わる②感情豊かに。でも感情的にならない
・親が変わる③親自身が楽しむ
・ルールを家族会議で決める
・わが家のルール①子どもの成長に合わせて変えていく
・わが家のルール②家族はチーム。楽しさと厳しさを

第4章 子どもになにを「伝える」のか
・なんのためになにを伝えるのか
・親の究極の願いは子どもの「幸せ」。そのためには
・幼少期の「社会的つながり」が大切
・言語能力は学力にも社会的つながりにも効く
・社会的つながりが就職力を分ける
・社会的つながりの育み方
・子育ての失敗①過干渉が招く非行
・子育ての失敗②他人のせいにする新型うつも過干渉から
・子育ての目的・目標はなに?
・子どもの「自立」には試行錯誤が必須
・長友選手を生んだ先回りしない子育て
・親が明るくなれば子どももポジティブになる
・伝えたいこと①仕事の大切さ。だから「お手伝い至上主義」
・伝えたいこと②自分で考え決めること。だからちょっと突き放す
・伝えたいこと③試行錯誤の練習。だから簡単には塾に行かせない
・伝えたいこと④世の中を楽しむこと。だから年長者にぶつける
・伝えたいこと⑤自ら開くこと。だからオープンハウス・パーティ
・「わが子」だけでなく、子どもたち「みんな」に!

おわりに

Column
「子どもが育つ魔法の言葉」より
文章の力~長女の一撃「お外は風が気持ちいいね」
ある日、東京大学で①質疑応答ってなんだろう
ある日、東京大学で②逃げるな、立ち向かえ!
ブログの力~表現することで作文力は上がる
「ネガポ辞典」で言葉や考えをポジティブに変換する
ひとり一芸。習いごとはみんな別
お手伝い分担替えの子ども会議
次女とお布団~不便さを知る・楽しむ
私は今、どこまででも行ける―長女から見た三谷家

資料
「脱ワンワード週間」シート
「脱ワンワード週間」ワークシート例
「脱ワンワード週間」ワークシート・アンケート例
「脱ワンワード週間」特製シール

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