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2013年7月16日 (火)

小説第一の美女は誰?

これはごく易しい質問です。文章における小説第一の美人とは、もしあなたが小説を書いて「彼女は古今東西の小説のなかに現れた女性のなかで第一の美人で
あった」と書けば、それが第一の美人になるのです。言語のこのような抽象的性質によって、小説中の美人の本質が規定されます。これが劇や映画と小説との本質的ちがいであります。

それはまた小説と歴史との違いでもありまして、歴史が史上最高の美女というときには、なんらかの裏付けがなければならないのでありますが、小説はそれ自体によって成り立っている小宇宙でありますから、なんらかの事実の裏付けなしに、小説の第一の美女というものはいつでも任意の所、任意の場所に出現するのであります。しかし私の読んだなかで最も神に近い美女をあげろと言われれば、おそらくリラダンの描いた「ヴェラ」をあげるべきでありましょう。
三島由紀夫『文章読本』中公文庫1995年、pp.211-212

 

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