学習における「説明の論理」と「探求の論理」(1)
中2の頃、三角形の合同証明ってのをやった記憶が誰にでもあるはずだ。そして、これがとびきり苦手だった、という方も多かったと思われる。中3の相似証明もしかり。
教科書の例題での証明や、問題集の模範解答を見れば、なんとかそのステップを追いかけて「わかる」。一方で、じゃぁ、いざ類題を解くことで自分の理解度をチェックしてみようとする、途端にデッドロックに乗り上げしまい、ウンともスンとも前に進まない。
さて、それは何故だろうか。
それは、図形の証明問題の模範解答が子どもに呈示しているものは、学習における典型的な「説明の論理」だからだ。いわば、「探求」し、探り当てた事柄を、事後的に整理整頓(sophisticate)したものだと考えるべきだろう。
しかし、図形の証明問題ができない子どもにとっては、「なんでそのような証明が思いつくのか」というところが実は知りたいはず。
数学の教師やら、数学の得意な子どもは、多くの証明問題を解く中で、証明の道筋を発見する「コツ」を体得してきている。大抵は、問題を一瞥しただけで、どんな風に証明すべきか、どこに補助線を引けばグッと見通しがよくなるのか、についてある程度イメージが湧いているはずだ。ところがそれが言語化されたり、図表化されて他者に伝達されることは実はあまりない。
さて、実は上記の問題は、なかなか意味深長な背景を持っている。なぜなら、この問題設定は、19世紀後半のアメリカの哲学者たち、すなわちプラグマティストたちを先行者として持っているからである。
ということで、本日は力尽きたので、次回へ先送りする。できれば、お盆休みあたりに続編を書ければ、と願っている。
〔参照〕
学習における「説明の論理」と「探求の論理」(2)
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