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2013年9月16日 (月)

シュートコース考

以前の記事で下記のサイト記事を引用した。

「落ち着け」では解消しない! 日本人選手に決定力がない本当の理由 | フットボールチャンネル

その記事で指摘されていたシュートスキルは、実は他競技で「当り前」であることを思い出した。それはハンドボールである。

高校時分、体育でハンドをやらされた。体育教師から「ハンドボールのシュートは握力や腕の筋力がないと強いシュートは打てないから、へなちょこの君らには無理。まずはコースを狙え。」と極めて適切な(!)アドバイスを受けた。そこで指導されたのが、以下の5つのポイントだ。

なぜこのコースがハンド未経験者の高校生にも得点機となるかといえば、ハンドのゴールマウスと人体の構造に由来する。試みにハンドボールとフットボールのゴールマウスのサイズを表にしてみよう。

Handball football
width (m) 3 7.32
height (m) 2 2.44
goal post (m) 0.08 0.12

これからすると、ハンドは仮に2mの長身選手がGKをしたらほとんど物理的にシュートコースがないように見えるというサイズ。それにくらべるとフットボールのゴールマウスの広いこと! つまり、フットボールにはGKの手足の届かないエリアがゴールマウス内に幾らでもあるが、ハンドにはなさそうだ、ということになる。

しかし、ゲームの運びは全く逆。ハンドは通常なら両チーム合計で50から60点の得点が入るゲームであり、フットボールは両チーム合計で3、4点がいいところ。トータルで6点も入ったら、面白くはあるが「大味」とか「守備崩壊」とか言われる始末。

つまり、フットボールに比べ、半分ほどのサイズのゴールマウスのハンドボールにおけるシュートスキルにはそれなりの合理性がある、ということだ。

図で示したハンドのシュートコースは、人体的に手足を動かし難い箇所。だから一回の攻撃機会に大抵は1点入ってしまう。したがって、二桁得点が当り前となる。

私はフットボールにおける育成段階のコーチング方法については無知だが、上記の記事ライター氏の言い方からすると、こういう他競技の基本的テクニック(スキル)や知識に関して、あまり共有化されていないようだ。

日本のフットボールが欧州や南米のフットボールの歴史の厚さとの違いを乗り越え、何れWCでチャンピオンになることは、彼等のやっている最先端footballの後追い研究だけでは永久に不可能だろう。むしろ、彼等もやっていないようなこと、他競技や他種目、他の分野の知識やテクニック・スキルを研究することは Late comer である日本に必須のことではなかろうか。

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コメント

fearonさん

なるほど、そうでした。
フットボールとハンドボールのハーフみたいなのが、フットサルでしたね。調べたら、ゴールマウスのサイズも、3×2(m)で丁度おなじ。元来、イベリア半島でも、南米でもフットサルは盛んなので、メッシにしろ、ロナウドにしろ、フットサルを通じて細かいシュートテクニックは身に付けたのでしょう。

確か、ロナウド(怪物のほう)がWCで活躍した試合で、足裏でボールをピタっと止めたプレイを解説者が「フットサルのテクニックですね。」と言っていたのを思い出します。

ハンドボールとは言いませんが、育成段階で、フットボールとフットサルは同時に楽しんだほうが繊細なボールテクニックが自然に身につく確率が高そうです。

なんにしても、協会の技術、強化担当スタッフは、日本代表をFIFA・TOP15以上にランキングさせたいなら、既成観念は取っ払っていろいろ研究してもらいたいものです。

投稿: renqing | 2013年9月18日 (水) 01時24分

ドイツ代表監督のクリンスマンとレーブは、代表選手にハンドボールとかバスケットとかやらせたそうですがね。戦術の練習で。

シュートコースは、フットサルでは常識的な話ですね。


投稿: fearon | 2013年9月17日 (火) 18時13分

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