リーガの蟹

Cani こと、Rube'n Gracia Calmacheは、La Liga、、VillarrealでNo.10を背負うMFである。

今季（2013-2014）のリーガの台風の目は、ビジャレアルだろう。シメオネのアトレティコ・マドリーも今季すごいが、その活躍はすでに昨季からのもの。ビジャレアルは昨季２部に降格していたから、１部昇格した今季の大活躍は賞賛に値するだろう。今のところだけど。

その中心選手がCani だ。No.10だが、いわゆるトップ下ではなく、左サイドが主戦場のよう。身長は180cm近くあるようで、スペイン人MFとしては大型。すでに32歳。右利き。

この「リーガの蟹」がうまいこと、うまいこと。いやそのプレーがね。たまたま、9月14日のレアル・マドリード戦のダイジェスト動画をみたのだけど、そのとき彼のスーパーなスルーパスを目撃してしまったわけだ。

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世間は100億円男のガレス・ベイルに大騒ぎだったけど、上の動画の１：００あたりを見て頂きたい。

ビジャレアルのショートカウンターの場面。モドリッチの攻め上がりのパスをビジャレアルのDF（誰か不明）が奪い、左サイドで虎視眈々とカウンターを狙っていたCani へ。

連動してウィンガーのペレイラ(24番)が左サイドをダイアゴナル（センターから左サイドへ開く感じ）に疾走。マドリーはぺぺが必死に守備に戻り、当然ダイアゴナルに併走。

そこにCani の必殺スルーパス。で、どこに出したのかというと、スペースのある左サイドではなく、逆にセンターより（ゴール側）への長いスルーパス。ペレイラを併走してマークするぺぺのほんの少し後ろを通している。動画で見ている限りぺぺも後ろ足でちょい触れているようにも見えるけど。

Cani の左足（利き足とは逆）から繰り出されたパスの方向を見ながらダイアゴナルにランしていたペレイラはCani の意図にその瞬間気づき、今度は逆にゴール側に向ってダイアゴナルにラン。逆をつかれたことに気づくのが一瞬遅れたぺぺは2mほど置いてけぼり。

このときランニング中のペレイラのファーストタッチが完璧でなく、ゴールもパスも狙える場所にボールを走らせることができていなかった。そのため、PA内に入ってから減速し、ぺぺにゴール直前で微妙に追いつかれてしまう。ボールを動かすスペースを前進しているレアルGKディエゴ・ロペスとぺぺに消されてしまい、シュートも打てず、ゴール前に走りこんでいたドス・サントス（9番、ここにいたのかぁ～っていう印象）にもラストパスを送れず、このチャンスはパー。どんな形でもゴールが決まっていれば最高だったのだけれど残念でした。

したがって、得点にも何にもならなかったのだけれど、このCani のパスのイマジネーションというか創造性が素晴らしかった。そんなねぇ、ショートカウンターの気忙しい局面でよく、相手DFの逆を突くような、それも相手DFの背中を通すような、味方さえいないスペースによく勇気をもってロングスルーパスを出せるなぁ、とほとほと感心した。

やはりリーガのプレーヤーって、どのチームにいてもテックニックは高い。改めてびっくり。今季のVillarreal（王の町）のゲームは面白い。

もし、この冬の移籍期間に香川がリーガにレンタルで移籍する機会があるなら、挑戦する価値は十分あると思い直した。リーガですぐゲームに出れる保証は何もないが、ユナイテッドにいてもそれは同じ。それに香川もリーガのほうがフットボールを楽しめるのは確実だろう。