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2013年10月10日 (木)

推論と知識量(2)

前回の続き。

優れた chemist の手になる、とても興味深いエッセイがあったのでご報告しておこう。

宮原諒二「アブダクションから縁(えにし)へ」『放射光』第6号第2号(1993年)

Abductionが《限定合理下における満足解》とともに、 innovation とも親和的であることを証して余すところがない。

詳しくは上記のエッセイをご覧頂ければ十分だが、著者の化学的探求プロセスにおける方針が、見事に複雑な世界における全能ならざる人間の探求のあり方を示していてある種の感動をもよおす。

研究の進め方として,私たちはその時の最も特性のよい物質を仮の候補として採用しそれを越える新しい物質が見つかるまで発光特性を改良して,素性を確認するという方法を取ってきました。探索と改良の同時並行です。いろいろとおもしろい経験則の発見がありました。それは,
1.素性のいいものは最初からその片鱗を見せてくれる。
2. ある物質を見つけた時,その物質を地道に「改良していくと特性は約1桁位は向上する。(それ以上期待してはいけない)
3. その「改良」のカーブは平方根曲線のように次第に飽和に近づいて行く。(それ以上の特性向上を期待しでも,努力の割に成果が出ない)
4. さらに高い特性が必要なら,その物質にこだわってはだめで,まったく系の違う物質の「発見」が必要である。

ファイル:Square root.png

もうちょい、こちらも思索を深める必要があるが、それはまた続き、ということにしておく。

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