学習における「説明の論理」と「探求の論理」(2)
■大局観
この問題を考えるのによいヒントになりそうなサイト記事があった。
初段への道~定跡研究の効果(初段NAVI ~インターネット将棋道場で誰でも楽しく棋力初段へナビゲート~)
数学教師や数学得意少年(少女)が、数学の難しそうに見える問題をサクサク解いてしまうのは、彼等が数学問題を解く「大局観」を保持しているからだと考えられる。
換言すれば、答えがすぐわかるということよりも、初見の問題をみて「あ~、これはね、こう解くんだよ。」と《解き方の方針》を適切に、それも場合によっては言下に言い放つ場合さえある。これは彼等の頭の中に問題解法の《大局観》があるからだと想定しみるといろいろ通ずるところがあるように思う。
■「定石」を学べ
上記サイト記事では、《大局観》を身につけるには、「定石」を学べ、とある。そして「定石」を学ぶことで、《大局観》とともにいろいろな《手筋》をおぼえることが出来る、とある。
整理すると、
《大局観》⇒ 一局の将棋の流れに関する感覚
《手筋》⇒ ある局面で自分が駒得をしたり、敵陣を破るなどの戦果をあげることを助けてくれるもの
と書かれている。いうなれば、《大局観》とは「戦略 strategy」であり、《手筋》とは、各局面における「戦術 tactics」と言えるだろう。
■数学の図形問題では・・
多角形の面積問題は《足し算》か《引き算》で考えよ
という命題があるとする。これは、
《足し算》
①多角形の複雑な部分の面積を、まずより小さな複数の三角形に分割する。
②その図形の面積を、幾つかの内分割三角形の面積の《足し算》、と考えてみる。
《引き算》
①多角形の複雑な部分の面積を、より小さな複数の三角形に分割し、それを含む大きな三角形を考える。
②その図形の面積を、大きな三角形の面積から、幾つかの内分割三角形の面積を《引き算》、と考えてみる
ということで、これはどちらかというと「戦略」に属するだろう。
また、三角形の相似証明は、
等しい2角を探せ
が定石か。相似条件は三つあるが、相似証明問題の七割方は「2角がそれぞれ等しい」を使わせるものだ。何故なら、等しい角度の発見問題にすれば、平行線の錯角や、中点連結定理、円周角定理など、大事な定理の複合する問題を作りやすいから。これなどは「戦術」の部類。
総じて、数学問題は、
わからないことは、分かることから考えよ(難問に対しては、まず問題文から明らかな条件を書き出して考えてみる)
というのも、大事な戦略だろう。なにしろ、「正解」の存在は保証されているので。
※数学学習に関して良いサイトがあった。ご参照されたし。
働きアリ : math 三角形に内接する円
■定石、大局観、「探求の論理」
と書いてきたところで今夜の資源が枯渇した。一つ思い出したことがあるので書き添えて撤退する。
センターフォワードが心掛けるべきこと
ピッチ上のプレーの大部分は、ボールを持っていない状態が占めている
フィニッシュに持ち込むために大事なのは、プレーの流れを予想し、読む力だ。そして最後の動きでは、自分の力を最大限に出す方法を知っていることが求められる
ボールをあまりキープしない理由をよく聞かれるけど、そうするのはゲームのなかで必要なときだけでいいから
ボールを持っていないときの自分の動きが気に入っている。最後の数メートルになって現れて、点を取るための動きがね
カバーニは真摯かつ賢い (Edinson Cavani, sincere and intelligent FW)
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