ふたつの思考法:創造と論理 / Two ways of thinking: creativity and logic
知識とは、「こと」であれ「もの」であれ、膨大な数の多様な対象 objects が、それより少ない数の何らかの範疇 categories の箱に分類されている状態だと考えられる。だから「知る knowing」ということは、どこからかやってきた対象を、どの箱かに入れて整理することだとみなせる。
すると、「創造する create」とは、何らかのやり方で、これまでの手持ちの箱(categories)の他に、新たな箱(a new category)を作ってしまうことだ、と考えることができる。
新たな箱が創出される機会、あるいはプロセスは2つある。
①外からやってきた対象を、ある知識の体系の既存の箱に入れようとして失敗するとき。全ての箱(n個)を調べて、この新対象を入れようと試みたところ、どこにも入れることが出来ない。そこで最終的に(「不明」という箱に入れずに)、新しい箱(n+1個目)を作りそこに入れてしまう時。
②ある知識の体系を見渡したとき、例えば箱C(の一部)と箱P(の一部)が実は同じカテゴリーと見なせると考えた時。この時も、既存のカテゴリーの数nのほかに、n+1個目の新しい箱を作成し、箱Cの一部objectと箱Pの一部objectをそこに移動することになる。
以上、二つ。
さて、上記の思考実験からすると、創造(想像)というのは、新しい箱(a new category))を作成することであり、論理というのは、あるobjectと他のobjectを同定する(identify)ことである、と考えられる。
この2つの思考は密接に関連はするが、働きとしては全く別のことだと考えられるだろう。論理(同定)には、鋭い感覚と持久力が必要となる。創造には、新しいcategoryを作成する勇気と名づけのセンスが必要となる。
とまで書いたところで、本日の考える資源が尽きた。いつになるか分からないが、後編へ続くこととする。
| 固定リンク
「知識理論(theory of knowledge)」カテゴリの記事
- 「鐘」と「撞木」の弁証法、あるいは、プロンプトエンジニアリング(2)(2023.08.12)
- 「鐘」と「撞木」の弁証法、あるいは、プロンプトエンジニアリング(1)(2023.07.19)
- You don’t know what you know(2023.07.16)
- Wataru Kuroda's "Epistemology"(2023.05.01)
- 黒田亘の「認識論」(2023.04.30)
「学習理論」カテゴリの記事
- Failure is a part of learning / 失敗は学びの一部である(2022.11.12)
- 心の扉の開き方/ How to open the door to the heart(2022.05.05)
- The Body as Empirical Rationalist(2022.04.25)
- 経験的合理主義者としての身体(2022.04.25)
- 日本の教育システムの硬直性は「儒教」文化に起因するか?(2021.05.18)
「Creativity(創造性)」カテゴリの記事
- AI Lies: Creativity Support and chatGPT(2023.07.10)
- AI は嘘をつく: 創造性支援と chatGPT(2023.07.10)
- 徳川日本のニュートニアン/ a Newtonian in Tokugawa Japan(2023.05.18)
- 未発の潜勢力としての「Chaos 混沌」/ "Chaos" as an unexploited potential force(2022.09.01)
- "The Creativity of Scientists" by Yukawa Hideki (May 1964)(2022.08.31)
コメント