靖国史観マトリックス
今の自民党政府首脳は、靖国史観主義者で占められているとおぼしい。でも、靖国史観主義の本質は、「勝てば官軍」だ。だとすると、かの対連合国戦争は、全き敗北なのであるから、「勝てば官軍」の対偶、「負ければ賊軍」でなければならない。にも関わらず、この主義者たちは、「それでも靖国史観主義は正しい。」と強弁して恥じないのだ。「美しくない」連中だといえる。
正しい | 正しくない | |
勝ったらから | 「勝てば官軍」 | |
負けたから | 「負ければ賊軍」 |
もう一つの例を出してみよう。
西洋において、「正義」や「法」が問題となる際は、常に「神」の存在が問題となる。例えば、「力は正義なり Might is right.」という言葉。これは、日本語で「勝てば官軍」と訳される。この場合、「力」とは勝者のことだ。しかし、「勝つ」ということは、実は神の加護があった証拠だとされ、勝利は神の意志=正義が実現されたと考えられた。つまり、勝者こそが、神の正義を実現したことになる。
勝つ | 負ける | |
正しいから | 「力は正義のあかし」 | |
正しくないから | 「弱いことは不正義のしるし」 |
だから、建国からその精神にピューリタニズム(「教会は神の軍隊」)を刻印されてしまっているアメリカ合衆国には、《軍事的敗北》を受け入れる精神的余地はない。したがって、事実上の負け戦でも、見せかけだけでも勝利のトロフィーを国民に与えるため、内戦の泥沼に引き込まれていくのだ。
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コメント
御意。
投稿: renqing | 2013年12月29日 (日) 20時56分
なるほど、彼らは「負けても官軍」と言うわけですね。
投稿: 御坊哲 | 2013年12月29日 (日) 20時52分