印刷博物館探訪(1)
東京都文京区にある印刷博物館を訪ねた。
いわゆるメセナ活動の一環で、スポンサーは凸版印刷株式会社であり、建物も事業所ビルの一角にある。
好み的には私のツボで、楽しめた。
売りは、何と言っても、グーテンベルク聖書のオリジナル展示だろう。バラしたものの一葉なのがコレクションであることは、人類史の遺産に等しいのであるから止むを得まい。
〈グーテンベルク 42行聖書 原葉〉
1455年頃制作/サイズ:290×410 mm(横×縦)
展示の詳細は、次回にする。
帰宅の道すがら、思ったのはこうだ。
Printing(印刷)は、mass-production(大量生産) の、Publishing(出版)は、mass-marketing (大量販売) の、それぞれ魁だ。
そして、Modernity(近代)というものが、
「大體歴史といふものは、或る一面から申しますると、いつでも下級人民がだん/″\向上發展して行く記録である」「応仁の乱について」1921(大正10)年8月
という、内藤湖南の示唆に従うなら、その contents(思想・言説) の大量流通も思い合わせると、近代(人)の鋳型を形成したものこそ、この印刷・出版という business に他ならないと見なせるかも知れない。それが資本主義形成史そのものの一側面でもあることは見やすい道理だ。
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