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2016年8月31日 (水)

ラテン系は怠け者か

ここで一つのデータを見よう。

OECD(経済協力開発機構)『学習到達度調査』(2012年調査)

数学  日本7位 スペイン33位(65カ国中)
読解力 日本4位 スペイン31位
科学  日本4位 スペイン29位

このデータを見て、スペイン人のシエスタ(昼寝を含む長い昼休み)を知っている方は、勉強ができないのは、やはりラテン系の人々は怠惰だからだな、と思ったりする。

データからすれば、平均的スペイン人青少年があまり学力が高いといえないのは事実なのだろう。ただ、その原因がいわゆる文化的にラテン系に属するからだと帰結してしまうのは早計のようだ。何故なら、スペインの教育現場(中学校教師)での以下のような証言があるからだ。

スペインの小中学生たちの学習意欲は低く、親がブレーキを掛けるどころか拍車をかけている。中学校教師の友人によると、子供たちが簡単に学校を休んでしまう理由は主に3つある。
(1)国民党と社会労働党が政権交代をするたびに教育改革を行ったことで、カリキュラムに一貫性がなくなり、現場が混乱していること
(2)落第者(スペインでは小学生も落第がある)を救済するために生徒への要求レベルを下げたことで、少々休んでも進級できるようになったこと
(3)ここ数年の経済危機によって格差が拡大。「努力しても仕方がない」という投げやりな空気が広がっていること
 歴史と地理を教えている前述の友人によると、「1クラス30数人で5人休んでいるのは普通、金曜日の不人気科目となると欠席者10人は下らない」という。試験の日ですら欠席し、後日「家庭の事情で休む」という親の署名付きの届け出を持ってくる子供もいる、というから驚きだ。
サッカースクールの教育的な意味スペイン暮らし、日本人指導者の独り言(9) - スポーツナビ

私が何を言いたいのかというと、何かの原因や理由を考えるとき、ありきたり、紋切り型のお手軽な言説に飛び付く前に、少しは調べ、考える必要があるだろう、ということだ。これは当然、自戒も込めてのこと。私もこのブログでの発言が、そうならないよう注意を払いたい。

上掲のOECDの詳細は、下記をご覧ください。
OECD生徒の学習到達度調査(PISA):国立教育政策研究所 National Institute for Educational Policy Research

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