Schmitt, Voegelin & Strauss
関曠野の六月に出た本の、弊ブログでの書評が前編で頓挫して二ヶ月過ぎてしまった。論点は定まっている。関曠野と梅棹忠夫という、思想的に全く異質な二人の論者の、異なるアプローチによる帰結が一致していることだ。
だからそれについては書く内容、準備は出来ている。あとはエイ、ヤァと一気に書いて推敲すればよい。休日一日をそれに当てれば何とかなる。
ただ、一点引っ掛かっていることがある。ローマ教会の西欧における国制史的位置づけである。関曠野は、近代西欧の骨格を形成するものは、ローマ帝国であり、古代ギリシアのデモクラティアとは無関係だと言う。そして、歴史から消え去ったローマ帝国の遺産を継受、熟成させたのは未開の西欧諸地域に点在する修道院とローマ教会のネットワークだったと言う。
だとすれば、西欧近代と資本主義の正体を把握するのに必要なのは、プロテスタンティズムではなく、まずは国制としてのカトリシズム理解ということに帰結する。
ということで、Carl Schmitt をパラパラ調べたら、彼は下層階級出身で、彼個人としては人当たりのよい好人物だったらしいことを知った。一挙に親近感がわいたし、彼のカトリシズムからする近代批判も、関曠野に一脈通ずるものがあると感じた。時間的前後関係からすれば、関が影響を受けている可能性のほうが高いが。
で、念のため、関の主著『プラトンと資本主義
』(1982年)の参考文献を確認すると、Schmitt は皆無だったが、Voegelin と Straussは、それぞれ2点参照されていた。
ということで、少し間延びしているが、(万が一)続きを待たれている方がおられるとするなら、今少しお時間を頂きたし。
| 固定リンク
「思想史(history of ideas)」カテゴリの記事
- Masao Maruyama, "Carl Schmitt (Schmitt-Dorotic) (1888-1985)," 1954(2022.06.06)
- 丸山真男「シュミット Carl Schmitt (Schmitt-Dorotic)(1888-1985)」、1954年(2022.06.06)
- 我们生态危机的历史根源 / Lynn White, jr. 1967.(2022.06.03)
- エコロジー危機の歴史的根源/リン・ホワイト・ジュニア 1967年(2022.06.03)
- The Historical Roots of Our Ecological Crisis / Lynn White, jr. 1967(2022.06.03)
「Neocon(ネオコン)」カテゴリの記事
- トランプは「覇権主義者」か?/ Is Trump a Hegemonist?(2020.06.29)
- Schmitt, Voegelin & Strauss(2016.11.16)
- 未来を予言する最良の方法は、未来を作ってしまうことだ(2)(2008.01.25)
- Himmelfarb vs. Skocpol(2007.12.04)
- 宇宙をかき混ぜちゃえ / Disturb the universe?(2007.09.30)
「Seki Hirono(関 曠野)」カテゴリの記事
- Why was European history a scandal? (2)(2022.05.15)
- なぜヨーロッパ史はスキャンダルになったか(2)(2022.05.15)
- Seki Hirono and Feminism (2)(2022.05.08)
- 関 曠野とフェミニズム(2)(2022.05.08)
- Seki Hirono and Feminism (1)(2022.05.06)
「Carl Schmitt」カテゴリの記事
- "Exoteric or Esoteric Buddhism" on the Principle of Self-Help(2022.05.02)
- 「自力救済の原理 the principle of self-help」を巡る顕教と密教(2022.05.02)
- 書評:関 良基『日本を開国させた男、松平忠固: 近代日本の礎を築いた老中』作品社 2020年07月15日刊(2020.08.28)
- Schmitt, Voegelin & Strauss(2016.11.16)
- 勝田有恒/山内進編著『近世・近代ヨーロッパの法学者たち ―グラーティアヌスからカール・シュミットまで― 』ミネルヴァ書房(2008年)(2011.04.18)
コメント