自分の人生に自分が関わること(1)
去る12月4日(日)、イタリアにおいて、首相の権限強化を目指す憲法改正をめぐって、国民投票が行われ、政府案は否決され、翌月曜日レンツィ首相は辞意を表明した。
この機運をリードしたのが、イタリア五つ星運動だが、国内外の大手メディアではネガティブな報道が目立ち、いま一つその内実がわからない。そこで、当方が閲覧しているMLにて恰好の動画を教えて頂いたので早速ご紹介。
イタリア 五つ星運動のリカルド・フラカーロさんのプレゼンテーション - YouTube
五つ星運動の事務局の主要人物であるらしいフラカーロさんの話で印象に残った点は以下。
1)この運動は、経済危機へのリアクションではない。政治の危機に応答するものだ。
2)人々は自分の未来を決めることに参加できていない、と感じていた。私たちが私たちの人生から蔑ろにされていると感じていた。
3)直接民主政(Direct democracy)は間違った決定をするかも知れない。でもそれは重要ではない。自分たちが責任をとれることが重要だ。
4)子どもが成長(grow up)するには、責任を持たせることが必要だ。それは我々も同じだ。
5)なぜなら、間違いを自分の責任にせざるを得ないからだ。「彼らが」ではなく「私が」間違ったのだと。
6)それが「精神」の変化だ。
本日のところは以上。
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コメント
関 様
コメントありがとうございます。
当方こそ、関様のご活躍、異分野でのご著書・ダム問題裁判へのコミット等、そのダイナミックな知的エネルギーに常々、羨望とともに敬服申し上げているところです。
私自身は、やや馬力に欠ける嫌いがありますので、関様のご活躍を刺激に己を叱咤激励し、精進を重ね、なるべく近いうちに、知的応援団ではなく、知的プレーヤーとして結果をものする所存です。文字通り、ご鞭撻のほど宜しくお願い申し上げます。
renqing
投稿: renqing | 2016年12月22日 (木) 10時15分
renqingさま
五つ星運動の紹介ありがとうございました。
民選議院設立建白書でも、「人民は不学ゆえ選挙権など時期尚早だ」という批判に対して、同じような回答がされていたのを思い出しました。
拙著『赤松小三郎ともう一つの明治維新』(作品社)、ようやく出ました。店頭に並んでいることかと存じます。いろいろ教えていただいたことを本の中に反映させていただきました。謝辞で御礼の言葉も述べさせていただきました。
今後ともご指導のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
投稿: 関 | 2016年12月21日 (水) 17時52分